最低最悪の腹黒男アレンは、私のファーストキス、大事な事なのでもう1度言おう。ファーストキッスを奪ったあと「うわ、だんご唇切れてんじゃん血の味がする。どうしたんですか」とのたまった。ふざけんな。お前が急に押し倒して、急に唇ぶつけてきたから切れたんだよマジふざけんな。
威嚇のつもりでアレンを睨むと、何故か喜びながら私の上から体を離した。こいつドMか。

「ファーストキスだと思ってるでしょう、だんご」

なぜかドヤ顔である。

「…ファーストキスだよ。なに言ってんの」
「違うよ」
「ちょ、ふ…む」

この華奢というか、紳士というか、その愛らしい外見からは想像もつかない腕力でソファに押し付けられたまま また唇を奪われる。何回するつもりだ!キス魔かこいつ!
何度も何度も角度を変えて啄まれるそれに、いい加減こちらの息ももたなくなり トントンとアレンの胸を叩いたらやっと解放された。こいつ、舌まで入れやがった。もう涙目である。

「…っは、ファーストキスじゃないって、どういう」

息も絶え絶えにそう問い掛けると、アレンはニコリと音が鳴りそうな程の笑顔を見せて 私の上から身体を引いた。あ、この笑顔、嫌いかも。
タイミング良く、いや、良くはないけれど 玄関の方からは母の帰って来た音がする。時計を見ると、母が買い物に出掛けてから1時間はとうに過ぎていた。どれだけ長い間キスされていたのだろう。今更ながらに恥ずかしくなって俯いていると、上からクスリと笑う声が聞こえた。ちくしょうキス魔め。

お帰りなさい、と先ほどの張り付けたような笑顔で母の手伝いを始めるアレンの後ろ姿を睨みながら 未だ赤い頬を隠すべく部屋から出ようとすると、思い出したかのように母が私の名を呼んだ。



「あ、だんご、あのね あんたの成績悲惨だから、アレンくんに家庭教師やってもらう事にしたわよ。」



……………。


なん…だと…?!




20130207






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -