その目に映るエトセトラ-2/3-






「ま、『あの』ライトがそこまでフリオニールに心を開いて、色々曝け出したのにはライトにしか分かんない苦悩って言うかそう言うのがあったんじゃないかって思うしな。今のライトが楽しそうで何よりだよ」
「やだ、何オジサン臭いこと言ってるのラグナ」

ラグナの言葉を遮るようにその背後から聞こえた声に、車座になって座っていた3人は一斉に顔を上げる――
声を聞いた段階でその言葉を発したのが誰かは分かっているから敢えて確かめることもなく、丁度ラグナとカインの間に座った声の主、ティファをただ見遣るだけだった。

「オジサン臭いって酷いな」
「私は事実を言ったまでだけど?で、どうしたの?ライトの話?」
「ああ、さっきライトニングがフリオニールを探してここに来てな」

カインの答えに納得したのか、ティファは得心したように大きく頷いてみせた。そして、その表情に浮かぶのは――何かを思い出したような笑顔。

「ライトはね……ああ見えて可愛いところあるからね」
「可愛い?ライトが?」
「そうそう。ほら、私達は一緒にいる時間が長いから色んな話聞くじゃない?フリオニールの話してるときのライトね、すっごく可愛いの」

笑顔のまま楽しそうに語るティファの言葉に男性陣3人は一様に首を捻る。
ライトニングは……冷徹に見える程冷静で、それでいて仲間想いで優しいが感情を素直に出さないが為にその優しさがどうにも伝わりにくい。
付き合いが長いだけに別にそんなことはないとは分かっているが最初はどこか怖い、と言う誤解さえ感じていたほどのライトニングに対して「可愛い」なんて言葉が出てくるのがいまいち信じられない――とでも言いたそうに。
その反応に苦笑いを浮かべるティファはもしかしたらその反応を予測していたのだろうか。だが苦笑いが不意に解け、ほんの少し離れた先にいたユウナに視線を移すとティファは大きく手を振ってみせる。
呼ばれていることにはすぐに気付いたのであろうユウナは、小走りで4人の元に近づいてくるとティファに視線を送り小さく首を傾けてみせた。

「どうしたんですか?」
「大したことじゃないんだけどね……ほら、ユウナも座って座って」

ティファに促されるがまま、こちらはヴァンとカインの間辺りに座るユウナ。一体ティファが何を言いたいのかが分からないとでも言うようにそちらに視線を送ったが、ティファは相変わらず笑顔のままユウナに視線を向けて口を開いた。

「今ね、フリオニールの話してるときのライトが凄く可愛いって話をしてたの」
「どうしてそう言う話になったのかがいまいち飲み込めないんですが……まあ、確かにティファの言うとおりです」

言葉どおりいまひとつ釈然としないと言った表情ながらも、ユウナはティファの言葉に同調するように首肯する。
だが、すぐに思い出したように手をひとつ叩いて笑顔を浮かべ、今までの話とは違う方向に言葉を紡いでいた。

「でも、そこはお互い様と言うか……ティーダから聞いたんですけどフリオニールもかなりのもの、らしいですよ」
「ま、フリオニールがライトに対してデレッデレなのは見てりゃ分かるけどな」
「わたし達が見て思う以上らしいですよ。ティーダ、フリオニールと仲がいいじゃないですか。それで、ティーダは『聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらいだ』って」

混ぜ返したラグナの言葉に返されたユウナの発言を聞いて、カインとティファが思い出したように表情を変える。丁度、彼らにも何か心当たりがあるとでも言いたそうに。

「……俺は全く同じ発言をセシルから聞いたんだが」
「私はクラウドから……」

互いの言葉に互いに顔を見合わせ――最初に笑い出したのは、ティファとユウナ。それから釣られたようにラグナも笑い出し、カインの露わになった口元も明らかに笑いを堪えている。
ヴァンだけがやはり何がなんだか分からないというように4人を見ていたが、自分で何とか納得したかのようにうんうんと大きく頷いてみせた。

「なんだかよくわかんないけど、とりあえずライトとフリオニールの仲がいいんだってことは分かった」
「これだけ話を聞いててその感想にしか至らないお前さんは逆に凄いと思うぞオレは」

笑い声に微かに呆れを滲ませながら呟き、ラグナは大きく息を吐いた。まるで、自分を支配する笑いをどこかに逃がそうとでもするかのように。
そしてぼんやりとどこか遠くに視線を送る。今のラグナが虚空の先に見ているものが一体何なのか、それは誰にも分からない――ラグナ本人を除いては。


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