その目に映るエトセトラ-1/3-






例によって例のごとく、その日も彼らは数人を選抜しひずみの解放に出向く。
残された者達はひずみへ向かった仲間達の帰りを待ちながら、野営の準備をする――それが彼らにとってはいつものこと、ではあるのだが。

「なあお前達、フリオニールを見なかったか?」

テントを建て終わったところで一休みしていたカインとラグナ、それにヴァンに向かってライトニングが歩み寄ってきて短くそう問いかける。
問いかけられた言葉に対して、顔を見合わせて苦笑いを浮かべるカインとラグナ……ヴァンだけがその苦笑いの意味が理解できないのか首を傾げていた。
そんな彼らの様子を見ていたライトニングの表情がどこか不愉快そうなものに変わる――それに気付いたのだろう、口元だけは苦笑いのままカインはどこか遠くへと視線を送りながら口を開いた。

「フリオニールならティーダと買い物に行くと言っていたが」
「買い物か。なら帰って来るまでにはまだ時間がかかるな……ありがとう」

手短に礼を述べて去っていったライトニングの背中を見守るラグナの表情にはニヤニヤとした笑みが張り付いている。兜の下に隠れ口元しか見えないままのカインの表情にも、また。
やはりヴァンだけが状況を理解出来ていない中、脚を伸ばして座っていたラグナは胡坐をかき、ライトニングが去っていった方向に視線を送ったままぽつりと呟いた。

「なんか、さ……ライトもやっぱ女の子だよなあ」
「フリオニールに関してだけの話をすれば、だがな」

流石に鎧のまま胡坐を書く事はできないからだろうか、カインは逆に脚を伸ばして座りラグナの言葉に答える――そしてそのやりとりを、どこかきょとんとした様子で聞いているヴァン。
暫くは何かを考えるように首を捻っていたが、2人に交互に視線を送りながらのんびりとした口調で問いかける。

「……なあ、なんで『フリオニールに関してだけ』、なんだ?」
「分からないなら分からないままにしておけばいい――余計なことを言うとまたライトニングに怒られるぞ」

冗談めかしたカインの呟きに、ヴァンの表情はほんの少しだけ不満げに歪む。何か隠し事をされているようで面白くないのかもしれないが――すぐに表情が元に戻るあたり、その実あまり気にしてはいないのかもしれなかった。
ヴァンの表情の移り変わりに、カインとラグナは再び顔を見合わせて苦笑い。普段からあれだけ仲良くしているフリオニールとライトニングの関係に気付いていないあたり、ヴァンの鈍感さは如何ばかりのものかしれようとも言うものだった。

「まあ、良く分かんないけど……確かに、ライトってフリオニールにはなんか優しいよな」
「あ、その辺は気付いてないわけじゃないんだな」

意外そうなラグナの言葉に、ヴァンの表情が再び不満げに歪んだ。深い意味は気付いていなくとも、ラグナに馬鹿にされているようにでも感じたのかもしれない。
だがヴァンの様子を気に止めるでもなく、ラグナは更に言葉を続けていた。その口調はどこか感慨深げにも聞こえる――理由は、誰にも分からなかったが。


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