セカンド・ヴァージン-3/5-






ついで、インナーのジッパーに静かに手をかける。自分ではゆっくりとした動作のつもりだったがその実相当に性急なその手に露わにされたライトニングの色白な素肌、そして左胸に刻まれた禍々しい刻印が目に触れる。
まるで芸術品か何かのようなライトニングの身体を目にした、ただそれだけで眩暈がしそうなほどの熱情が自分に宿るのを感じる―

「ほんとに…綺麗だ」

呟いた言葉はその熱さと裏腹に力が籠もっていないのが自分でも分かる。感嘆のあまり籠めるべき力の全てが自分から抜け落ちてしまったかのような錯覚を覚えながら、フリオニールはライトニングの背中に回していた手を片方解いて露わになった胸を掌で包み込むように触れた。
自分の身体のどこを探してもきっと見当たらないであろうその柔らかさ。はじめはどこか遠慮しながら触れていたがそれでは物足りなくなってきて、手に籠もる力が強くなるのが自分でも分かる。
力を込めればその指を包み込むようにふわりと沈み、かすかな弾力を持って押し返される独特の感触は触っているだけで不思議と気分が高揚してくる…
ただ感触が楽しいだけではなく、触れていることによって次第にライトニングの声に甘いものが混じり、吐息が熱くなるのが分かるからこそ余計に。
もっと、もっと見てみたい―おぼろげな記憶の中でもいつも冷静だったライトニングが自分の手で乱れるところを、もう一度見てみたい。
記憶を辿りながら、ゆっくりとライトニングの下着をずらす。露わになった乳房と桜色に色づいた突起が目に触れ、フリオニールは指を伸ばすと既に硬くなり始めていた突起に指先で触れた。

「…っ、ん…」

上がった声は先ほどまで語らっていた時に聞いていた声とは比べ物にならないくらいに甘い。その声をもっと聞きたいと言う単純な動機が、意識さえしないままにフリオニールの手の動きを大胆にしていた―
最初は指先で転がすように動かしていただけだったのがやがて親指と人差し指で摘み、指の間で転がすかのように軽く動かす。
はっきりと見て分かるほどに頬を紅潮させ、指を動かすたびに甘い吐息を漏らすライトニングの反応を見ていれば、自分のしていることが多少なりともライトニングに快感をもたらしていることは分かる―

「…やっぱ、覚えてたこと間違ってなかったみたいだな」
「何の、話だ…」
「こうしたら…ライトが気持ちよくなってくれてた、ってこと」

この馬鹿、と囁くように呟かれた言葉は聞こえなかった振りをして、再び掌を大きく使って乳房を包み込むように動かしながら人差し指で突起を転がす―ライトニングの反応を窺いながら。
躊躇いや戸惑いがないわけではない。本当に自分のしていることが正しいのか分からなくなりかけることもある。
だが―戦いの最中そうしているかのように。数多ある武器を、そして使うことの出来る魔法をいかに組み合わせて敵を討つかを考えているときと同じように―自分がどうすればライトニングを少しでも悦ばせることができるのかを、フリオニールはただひたすらに考えながら手を動かしていた。
背中に回したままだった左腕も解き、指先でライトニングの身体をなぞる。柔らかな胸から引き締まった脇腹、腰へと指先を滑らせる。

「…くすぐったい」
「ご、ごめん」
「いや…嫌なわけじゃない」

短いそんなやり取りの末に、フリオニールの手はライトニングのスカートの上へとたどり着く。スカート越しに引き締まったその太腿をゆるゆると撫でながら、その掌を自然と腰の後ろへと回してライトニングの身体を引き寄せた。
丁度、衣服の下で激しく自己主張を始めている昂ぶりの上にライトニングを跨らせるような格好になり…意識していたわけではないとは言え、自分にとっては弱い場所にライトニングの身体が触れたという事実だけで眩暈を起こしそうなほどの快楽がフリオニールを襲う。
ともすればこのまま暴発してしまいそうなほどの劣情―振り払うようにフリオニールは首を横に振ると、鎧を外した時に傍らに放り投げておいたマントを手早く手繰り寄せた。

「ライト…横になってくれるか?」
「ああ」

素直に答えたライトニングに手繰り寄せたマントを手渡すと、ライトニングはそれを広げて床へと横たわる。それを横目で見ながら、フリオニールは身につけていた衣服を全て脱ぎ捨てていた。
それを見ていたのだろう、ライトニングも自分の身につけているものを一枚また一枚と脱ぎ捨てて行く。フリオニールが生まれたままの姿になった時には既に、マントの上に横たわるライトニングもまたその美しい裸体を惜しげもなく晒していた。

「…やっぱり…綺麗だ、ライト」
「随分と傷ついた身体ではあるけどな…戦うことしか知らなかったから」
「それも込みで綺麗だって思ってる…それに、傷ついてるのは俺だって同じだ」

一歩一歩と横たわるライトニングに近づき、そしてその隣へと横たわる。そのまま伸ばされた腕が背中に回り、しっかりとライトニングに抱きしめられたような格好になる。
視線を移すと自分を捉える空色の瞳。その眼差しに引き寄せられるかのように口付けを交わす―唇が重なり合ったまま、フリオニールの手はライトニングの身体を探るかのようにその滑らかな素肌をなぞる。
ただ掌を動かしているだけでも口付けの合間に漏れる吐息。それだけでフリオニールの身体の中で暴れまわる熱は強さを増す。抱きしめられた状態のまま、昂ぶりが彼女の身体に触れているだけなのにそれすらも刺激となって緩やかな快感がフリオニールを苦しめる。
本当は今すぐにでもひとつになりたい。この先にある快楽を知ってしまっているから―それが記憶の中に残っているからこそ、触れているだけでは物足りないと感じてしまっている自分の存在にフリオニールはとっくに気付いている。
だがそれでも。記憶の片隅に残ったままの―初めて結ばれた時の、ライトニングが浮かべていた痛みを訴える表情がフリオニールの記憶の中をちらついていた。
少しでも馴らしておかなければまたライトニングに痛い思いをさせてしまうことになる―思い直したように掌を動かしてライトニングの身体に触れ、そっと肌の上を滑らせていった。
しっかりとくびれた腰から引き締まった腹の上、そして柔らかな茂みへ至ったところで一度唇を離し、ライトニングの様子を窺う。
どこか不満げな表情に見えて、慌てたようにフリオニールは手を離しかけて…すぐにライトニングの手が後頭部に回り、引き寄せられたことで悟る。その不満げな表情は口付けが途絶えたことに対して浮かべられていたものだったのだと。
言葉にせずにそれを示してみせたライトニングがたまらなく愛しくてどうしようもなくて…再びフリオニールの中には、そんなライトニングとひとつになりたいと言う衝動が沸き起こる。
結局その場所にしか至る事のない思考を頭の中だけで自嘲しながら、フリオニールは再び手を動かして―その指をライトニングの脚の間へとゆっくりと割り込ませていく。
指先に触れる蜜のとろりとした感触は、ライトニングの身体がフリオニールを受け容れようとしていることへの何よりの証左。それを確かめるように、フリオニールは入り口に押し当てた指にぐっと力を込めた。


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