セカンド・ヴァージン-2/5-






それから暫く、ふたりは様々な事を語り合っていた。
ライトニングが知らない、神々の戦いの結末のこと。フリオニールが取り戻した、元の世界の記憶のこと。結局ライトニングが探し出すことが出来なかった、クリスタルの正体。
そんなフリオニールの話を、ライトニングは頷きながら聞いている。ほんの僅かでもフリオニールと共にいられなかった時間を埋めようとするかのように見えて―それが余計に、フリオニールを饒舌にさせていた。
ライトニングの話が聞きたいと言ってもライトニングがそれを拒んだからと言うのもないわけではない。だが、自分の話を真摯に聞いてくれるライトニングの存在がとても嬉しくて、フリオニールはただひたすらに様々な事を語り続けていた。

「それにしてもさ」
「…どうした」
「凄く不思議なんだ、過去の戦いのことなんて何も思い出せないのに…自分がライトをどのくらい好きだったか、それだけは覚えてるって言うのも」

呟いて視線をライトニングに真っ直ぐ向ける。彼女と共に戦っていたはずの記憶は自分の中から抜け落ちているのに、それでも間違いなく自分は彼女のことを愛している。
ひとを愛した経験の少ないフリオニールとは言え、それが不自然だということはなんとなく分かる。だがそれがどうでもいいと思えるくらい今自分は間違いなくライトニングを想っている…

「不思議なのは私も同じだ。忘れられることは覚悟していたのに…私にはもうお前に愛される資格なんてないと思っていたのに」

言葉と共にライトニングの手が頬に触れる。ぶつかり合った視線がどこか熱く艶めかしいものに感じられて…フリオニールは思わずゴクリと喉を鳴らしていた。
意識の底から甦ってくる、ライトニングと共に過ごした僅かな時間の甘い記憶。それと共に湧き上がった衝動に任せて、フリオニールはゆっくりとライトニングに顔を近づけていた。
誘われるように目を閉じたライトニングに引き寄せられるかのように重なる唇。ゆっくりと離れた唇は、抜け落ちていた記憶を埋めたいと言う願いを引力として再び引き寄せられる。
鳥が啄ばむような口付けを何度も交わし、やがて本当に自分から離れたライトニングの唇からは静かに言葉が滑り出していた。

「…『あの夜』のことは…覚えているのか?」
「覚えてなかったらここには来てないんじゃないかな」

自然とそんな言葉を返し、フリオニールはしっかりとライトニングの背中に腕を回して抱きしめる。
ライトニングに望まれたから、溢れる衝動が抑えきれなかったから―無我夢中に彼女と身体を重ねた記憶が急にフリオニールの中で鮮やかな色合いを帯びる。
それと共に再び湧き上がる衝動―愛しいと言う想いが、形を変えてライトニングを抱きしめる腕の力を強くする。

「…もう一度抱きたい、って言ったら…迷惑かな」
「迷惑に思う理由がどこにある?」

冷静に返された言葉がフリオニールの中でくすぶり始めた衝動に火をつける。
これが夢でも構わない。だがそれでも自分は確かにライトニングを愛していて、確かにライトニングが欲しいと思っていて―今のフリオニールを思いとどまらせるものはもう、そこには存在しなかった。
手を伸ばしてライトニングを抱き上げるようにして、伸ばした膝の上に座らせる。すぐ目の前にやってきたライトニングの姿を確かめるようにじっと見つめるとフリオニールはゆっくりとライトニングのベルトに手をかけた。
だがすぐに解くことはせず―もう一度、ライトニングの様子を窺うように彼女の瞳を真っ直ぐに見つめる。

「…脱がせちゃったら多分俺、もう自分が止められなくなる…と思う…だからその、本当に…いいん、だよな?」
「わざわざ確認しなくていい…嫌がる理由なんてどこにもないんだから」

とても冷静に、それでいてとても優しく投げかけられたライトニングの言葉にフリオニールは大きく頷くと、一度止めた手を動かしてライトニングの腰に巻かれたベルトを解く。そのままするりと、羽織られたアウターを脱がせた。


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