恋を彩る夏の色-4/4-
緊張の糸が解けたかのように力の入らない身体をフリオニールの腕に支えられ、それがライトニングに妙な安心感を与える。こうしてフリオニールと触れ合っていることが幸せなのだと、心の底から思えてならなくて―
そんなことをライトニングが考えていることにフリオニールは気づいているのかいないのか。はぁ、と大きく息を吐くとゆっくりと腰を引き、未だライトニングの中に納まっていた自身がゆっくりと引き抜かれていく。その全てが引き抜かれたところで、ライトニングの脚の間を何か生暖かいものが伝った。
自然と自分の下半身へと視線を送ったライトニングが目にしたのは、秘所からどろりとあふれ出し太腿を伝う白濁―間違いなく先ほど、自分の中で放たれたはずの「それ」を視線に捕らえながらライトニングは微かに唇の端を上げる。
「随分出たみたいだな」
呟いた声は自分で思っていた以上に冷静で、それに対してフリオニールのほうが恥ずかしそうにライトニングから視線を外す。
その様子がおかしくて、ライトニングは小さく笑いながら振り返りフリオニールの未だ汗が滲む頬に触れた。
「どうしてお前が恥ずかしがるんだ、自分で出したものだろう」
「いや、それはそうなんだけどさ…改めてそう言う風に言われるとやっぱり何て言うか…なぁ」
気まずそうに視線を逸らしながらも、フリオニールは足元の海水を掌で掬い上げるとライトニングの脚の間を伝う白濁を洗い流す。全てが洗い落とされたところで、フリオニールは先刻自分で引き下ろしたライトニングの水着を引き上げてから自分も水着をしっかりと着なおした。
身につけている水着にも、洞窟の中にも先ほどまでの行為の痕跡が残るほどの乱れは既にない。それを確かめるとふたりは笑顔と微笑みを交し合い、洞窟を後にした。
「あ、いたいた!フリオニールもライトも、どこ行ってたんだよ」
先ほど高飛び込みをしていた岩場の近くを泳いでいたヴァンが2人の姿を目ざとく見つけて近づいてくる。
ふたりはどう答えたものかと思案するように一瞬だけ顔を見合わせ、すぐにライトニングがさらりと口に出した言葉。
「この先にトンネルのようになっている洞窟があったからな、見に行っていたんだ」
「なんだよ、そんなのがあるんだったら教えてくれたらいいのに。なあ、みんなで見に行こうぜ」
「あ、ああ」
フリオニールの表情にはかすかな動揺が浮かんでいたが、別にライトニングは嘘をついたわけではない。
涼しい表情を浮かべながらヴァンの後に続いて泳ぎだしたライトニングと、その後ろをついて泳いでくるフリオニールは遊びまわっている仲間達にヴァンが声をかけている姿を遠くからぼんやりと眺めていた…が、ライトニングはふと「あること」に気づいて隣を泳ぐフリオニールの方へ視線を移した。
「…ユウナとティーダの姿が見えない気がするんだが」
「そうだな…それに、クラウドとティファもいなくないか」
フリオニールの答えに、ふたりは―皆考えることは同じなのだろうか、などと思い再び顔を見合わせて苦笑いを交わし合うのであった。