甘い響きにいざなわれ-5/5-






髪に触れられる感触にフリオニールも笑顔を浮かべ…ふと、気づいたようにちらりと壁を見遣る。
今のところ、隣の部屋からは何も声は聞こえてこない―クラウドとティファはもう眠ったのだろうか。

「…と言うか、今気づいたんだけど」
「どうした?」
「俺たちの声も聞こえちゃってた…かな」

そのことに思い至ると何故か気まずい気分になって、フリオニールはふいと視線を天井の方に移す。
ライトニングも釣られたかのように視線だけをそちらに移すが、すぐにぽんぽんとフリオニールの背中を軽く叩いた。

「気にするな、先に聞かせてきたのは向こうだし…自分たちがしていることを私たちがしないわけがない事くらいは理解できているだろう」
「…まぁ、それはそうだけどな」

小さく笑みを交わしながら、フリオニールは未だライトニングの中にあった自身をゆっくりとした動きで引き抜く。
そのまま、ライトニングの隣に横たわると腕を伸ばし、ライトニングの身体をそっと抱き寄せた。素直に抱き寄せられたライトニングは、そう指示されたわけでもないのにフリオニールの伸ばした腕に頭を乗せ、その胸に身体を寄り添わせる。

「…このまま寝ちゃっていいかな」
「悪いなんて言う訳がないだろう…と言うより、私もこのまま眠ってしまいたい」

その呟きと共にライトニングがゆっくり目を閉じる。おやすみ、と小さく呟きながらフリオニールもまた目を閉じて…身体を支配する疲れに導かれるままに眠りに落ちていった。


余談。

明け方に目を覚ましたふたりは早々と身支度を整え、仲間達の待つ野営地へと戻る為に一夜の宿となった廃墟を出る…そこには既に、クラウドとティファの姿があって。

「おはよう、2人とも」
「あ…ああ、おはよう」

ティファは極当たり前のように自分たちに挨拶をしてくるものの、昨夜のことが思い出されてフリオニールはなんだかそんな2人の方を直視することが出来ない。
と言うよりも、自分以外の3人が皆当たり前のような態度でいることが不思議にさえ思えてきて。
だからと言って何かを言うわけにも行かず、フリオニールは黙ったままで野営地へと戻ることになったのであった…が。

「…済まなかったな」

クラウドから突如声をかけられ、しかもそれがそんな短い謝罪の言葉だったものだからフリオニールは思わず首を捻る。

「何が?」
「いや…その、昨日はついお前達がいるのを忘れて…気分が盛り上がりすぎて」
「ああ…いやそのえーと、俺たちもその辺は同じだからなんとも、なぁ」

それ以上言葉が続かない。互いに視線を反らしあい、乾いた笑いを浮かべることしか出来なかった。
そしてそれと共に、自分たちの視線の先で普通に何事か話し合っているライトニングとティファの姿を見て…再び顔を見合わせたフリオニールとクラウドは共に苦笑いを浮かべていたのであった。


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