甘い響きにいざなわれ-2/5-






4枚渡された毛布は2枚ずつ分け合い、入り口に近い部屋にクラウドとティファが入る。その背中を見送ってから、その隣…奥側にあった部屋にフリオニールとライトニングも足を進めた。
部屋に入ったところで、フリオニールとライトニングは顔を見合わせて笑い合う…なんだか妙に照れくさくて、笑うことしか出来ないと言ったほうが正しいだろうか。
一先ずは鎧や防具を外し、衣服だけを身に纏った状態で当然のように寄り添いあって、ふたりは毛布を広げその上に腰を下ろした。
とは言えそう簡単に眠る気にもならず、暫くは他愛のない話に花を咲かせる。それはある意味、いつも通りのこと。
話の内容なんてものは本当に何てことないものだが、それでもそんな些細な話をしている瞬間もまた彼らにとっては楽しいものだということに変わりはない―フリオニールはそう思っていた、「その瞬間」までは。
何の話をしていたときだろうか、確かティーダがどうこう言っていたようなそんな気がする―話が途切れ、一瞬の静寂が支配した瞬間。

「…だめ…クラウド」

壁の向こうからティファのそんな声が聞こえて、フリオニールとライトニングは一瞬目を見合わせる。
その声はいつものティファのものに比べて格段に甘く、切なげで…それに対してクラウドがどんな言葉をかけたのかまでは聞こえなかったが、その先に続いたティファの声はやはり普段の彼女のものとは違っていて。

「ライトたちに聞こえ…っ、やだ…」

短いそのティファの言葉だけで壁の向こうで何が行われているのか容易に想像がついて、フリオニールは慌てたように今まで凭れていた壁から飛びのく。
慌てるフリオニールが可笑しかったのかライトニングは小さく笑いを零しながらその様子を見ていたが、遠ざかったフリオニールの方に身体を寄せると不意に口を開いた。

「そんな慌てるほどのこともないだろう。と言うより、こうなることは予想していたんじゃないのか?」
「いや、でもさ…やっぱりその、聞いちゃいけない気がして…」

どこに視線を送ればいいのか分からず―ライトニングを見るのもなんだかおかしい気がするしだからと言って壁の方を見るのも妙に気恥ずかしくて、フリオニールはあらぬ方向を見ながら何かこの状況で言える事はないかと考え始める。
さっき何の話をしていただろう、ティーダの話だった気がするけどティーダの何を話していただろう。一生懸命にそうやって話題を繰り出そうとしたところで壁の向こうからはまた一際高い嬌声が聞こえてくる。
聞いてはいけない、どうにか誤魔化さなくてはいけないとひとりで焦りを覚え何か喋ろうとして何を言えばいいのか分からず黙り込み、黙り込むと隣の部屋から声が聞こえてまたおろおろとしている―そんなことをあまりにも何度も繰り返しているフリオニールを、ライトニングは苦笑い混じりに見つめていた。

「だから、そんな慌てることじゃないだろう」
「いやでもほら…その」

どう言葉にすればいいのか、フリオニールの中には躊躇いが浮かぶ―
隣の部屋から聞こえてくるティファの声、それに触発されるかのように…フリオニールの中に芽生える熱。
別にティファに対して何かを思うわけではない。だがどうしても重なってしまうのだ―今目の前にいるライトニングが、自分の腕の中だけで上げる声と。

「…隣を気にする暇があるのなら…私のことをもう少し気にしたらどうだ?」

その言葉と共に、ライトニングの手がフリオニールの頬に触れる―もう片方の腕が背中に回され、布越しにライトニングの鼓動を感じて、釣られたように跳ね上がるフリオニールの鼓動。
ライトニングはそれを分かっているのだろうか―そんなことを考えている間に、頬に触れた手が後頭部に回りその指がフリオニールの髪を捉える。そして引き寄せられるように唇が重なった。
重なると同時にライトニングが薄く唇を開き、それに誘われるかのようにフリオニールは口腔に舌をねじ込む。何の躊躇いもなくその舌を受け入れ迎えるかのようにライトニングの舌がぬるりと絡められた。
隣の部屋からは相変わらず、ティファが時折上げる嬌声が聞こえてきている―しかし、今のフリオニールにはもうそんなことを気にしている余裕はなかった。
目の前のライトニングが口付けの合間に漏らす吐息と、抱きしめあった身体が感じる互いの鼓動。自然とそれだけに集中している―
フリオニールの膝の上に跨るような格好で座ったライトニングの身体を微かに離し、フリオニールの手はライトニングの身体を弄っていた。
インナーの裾から手を差し入れて腰のくびれを指でなぞり、そのまま掌を腹部、そして胸へと滑らせていく。
視界には触れないまでも指先の動きだけで下着をずらし、柔らかな感触と…相対するように固く尖った先端をその掌に感じる。
掌をいっぱいに使って柔らかさを楽しむように揉みしだきながら、中指の腹で先端を押しつぶすようにこね回す―その瞬間、絡み合ったままの唇からは先ほどまでとは比べ物にならないほど甘い吐息が漏れた。


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