御伽噺に出来ない恋-3/6-
それでもどうにか鎧を外して邪魔にならないようにベッドの下に置くと、横たわったままのライトニングの隣にフリオニールも身体を横たえ、ライトニングの頬に触れる。そのまま引き寄せるように再び唇を重ねた―
先ほど一度我慢した分、もう止められる気がしなくて…滑り込ませるようにライトニングの唇を割り開いた舌が、差し出されたライトニングのそれと激しく絡み合いはじめる。
片方の手はしっかりと握り合わされ、空いた手は互いが互いの存在を確かめ合うように…フリオニールの手はライトニングの頬に、ライトニングの手はフリオニールの背中に。
唇は時折離れては、そこで開かれた瞳が互いを捉えあい笑みをかわし合う…欲情だけでなく愛情がそこに確かに存在することを確かめ合うように。
そして再び唇は重なり、絡み合う。そうしているうちにライトニングの頬に触れていたフリオニールの手が首筋を滑り、ウエストのベルトを慣れた手つきで緩め始める。
服越しに触れるだけでは足りなくて、その素肌に触れたいと当たり前のように思っている自分は…やはり、ライトニングが言うような「恋物語の主人公」にはなれそうにないな、などと考えながら、1枚ずつライトニングの着衣を剥いでいく。
少しずつ露わになるその素肌に、フリオニールの胸は高鳴りを隠せない…
絡み合っていた唇が離れ、ゆっくりとライトニングの首筋をフリオニールの唇が滑る。
小さく声を漏らしながらくすぐったそうに身を竦めるライトニングの動きを見て、フリオニールの中に沸き起こるのは優越感。
ライトニングのこんな姿を知っているのは自分だけだと言う、誰に対して感じているのかまでははっきりと分からないけれども確実にそこに存在する感覚がフリオニールを支配していく。
そしてその優越感が、フリオニールの中に芽生えた欲情を更に強めていく―もっと、もっと見てみたい。ライトニングをこの手で乱してみたい…それが許されているのは自分だけ、なのだから。
そう考えたのと、首筋をたどって滑り降りた唇が胸の先端にたどり着いたのがほぼ同時。フリオニールは何の躊躇いもなく、既に堅くなり始めていた突起を口に含んだ。
「や、め…っ、ん…」
制止する声を聞かず、舌で舐め転がしながら時折視線だけでライトニングの表情を窺う…何かに耐えるようにぎゅっと目を閉じているライトニングの表情は艶っぽく、それが余計にフリオニールの中に宿る劣情をかき立てる。
繋ぎ合わせた手を解き、その素肌の滑らかな感触とライトニングの身体を形作る曲線美を楽しむかのように胸の膨らみを、腰のくびれを指先でなぞる…ただそれだけでも身を震わせるライトニングが、ただひたすらに愛しい。
次第に荒くなってくるライトニングの呼吸、その合間に漏れるかすかな喘ぎを聞きながらフリオニールは微かに口の端を上げる…自分の手で次第に乱れていくライトニングの姿を見ることが出来る、この瞬間は間違いなくフリオニールにとっては幸せな時間で。
やがて申し訳程度に残されていたミニスカートの上をなぞり、フリオニールの指先は裾からスカートの中へと進入していく。
じわじわと内腿を滑る指が下着の上から秘所に触れる…下着越しだというのにそこが既にかすかな湿り気を帯びているのに気づいて、フリオニールはわざと指をくにくにと動かしてそこを刺激する。
「待て、そんな…」
「待てって言われて待てるわけがないだろ?」
直接触れるのではなく下着の上から指先でこりこりと陰核を転がし、ライトニングが声を堪えるように唇を噛むのを確かめながらフリオニールの手の動きは少しずつ早まっていく。
一生懸命声を殺そうと唇を噛みながら、フリオニールの背中に回ったままだったライトニングの手がしがみつく力が強くなる―その、刹那。
「…この扉…は、閉まってるようだな」
ドアの外から聞こえる声に、一瞬だけフリオニールは手を止める。
この声は恐らく、スコール。そしてそのスコールの声に呼応するかのように…
「さっき通りかかった時は開いてたような気がするんだけどなあ。誰かが閉めたのかな?」
いつもの如く明るいラグナの声が聞こえてくる。どうやら、ふたりが睦み合っている大道具倉庫の扉が閉まっていることを訝しんでいるようで―
一度動きを止めたフリオニールであったが、そこで彼の中に首をもたげる悪戯心…