御伽噺に出来ない恋-2/6-






「時々ライトを見てると不思議になることがあるんだ」
「私を見ていて不思議になる、だと」
「普段はとても強くて芯が通ってて凛としていて…でも時々とても可愛いって思うことがある」

その言葉にライトニングは目を伏せる…微かに顔が紅い気がするのはフリオニールの気のせいだろうか?
気にすることもなく、フリオニールは髪に触れていた手を動かしてライトニングの頬に触れる。

「私に対して可愛いなんて言うのはお前くらいのものだが」
「そりゃそうだろうな」

頬に触れた手を離し、その代わりに唇を落とす。そのまま唇を滑らせ、ライトニングの耳朶を唇で挟むように甘噛みした―途端、ぴくりとライトニングが身を震わせるのを感じる。
それが何故か嬉しくて、ちろりと舌先をその耳朶に這わせてみた。…ライトニングがこうされるのに弱いと気づいたのはいつだっただろうか、そんなことを思いながら。
暫し耳朶を唇と舌で弄んだあと、その唇を離して抱きしめたままその耳元でわざとゆっくりと囁いた。

「だって、こんな…ライトの一番可愛い姿を知ってるのは俺だけだろ?」
「当たり前だ。お前以外に見せるつもりもないし見せたいと思ったことさえない」

フリオニールの背中に回された腕が強くなる…間近に感じるライトニングのぬくもりと甘やかな匂いがフリオニールの心をくすぐり刺激する。
少しだけ倒していた身体を真っ直ぐに立て直すと、フリオニールは再びライトニングの頬に手を触れてゆっくりと唇を近づける。
抵抗されることもなく重ねられた唇を微かに離し、薄く開くとライトニングの唇を甘噛みするように挟み込んだ。
それに呼応するかのように、ライトニングがその唇の隙間からちろりと微かに舌を差し出す…今すぐにでもその舌を吸い、深く絡めたいと言う欲求がフリオニールの中に生まれ…無意識に雑多に置かれた大道具としての調度品の数々に視線を移す。そう言えば「あれ」はハリボテではなく本物だったはず―
それを思い出すと、フリオニールはもう一度ライトニングの身体を自分から離すようにその肩に手をかけた。
不思議そうに自分を見つめているライトニングはそれでもフリオニールの意思が分かったのか素直に身体を離す。
そこでフリオニールは、ライトニングを横抱きにひょいと抱き上げた。その身体は事もなく持ち上げられ…ライトニングは縋るものを求めたかのようにフリオニールの首に腕を回す。

「…何のつもりだ?」
「触れ合ってるだけじゃ…我慢できそうにないんだ」

ライトニングを抱きかかえたまま、フリオニールは大道具が置かれた方へ足を進めると…幸いにして埃が積もっているなどと言うこともなく綺麗な状態のベッドの上にライトニングを下ろした。
それで漸くフリオニールの言いたいことが分かったのか、ライトニングは小さく笑みを浮かべてみせ、そのまま身体を起こした。

「せめて靴くらいは脱がせてくれないか」
「ああ…それもそうか」

身体を起こしたライトニングがブーツに手をかけ、ベッドの下へと器用に落とす。フリオニールも靴と脛当てを外すと、ベッドの上に膝を立てて座っているライトニングに圧し掛かった。

「フリオニール、鎧」
「ああ、そうだった…忘れてた」
「そんなにがっつかなくても…私は逃げたりしない」

くすくすと笑いながら、ライトニングは腕を伸ばしてフリオニールのマントを外す。
それを靴と同様にベッドの下に落としたのを確認して、フリオニールは鎧を脱ぎ始めた。普段は身を守ってくれる大切な鎧だが、ことこういうときにはその存在がもどかしく思えたりもして―


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