激情の仮面-6/6-






「…もっとしっかり謝ったらどうだ」
「ほんと…ごめん。俺勝手に勘違いして、しかも君にあんな…酷いこと…そりゃ、ライトだって怒る…よな」

自分がライトニングにしたことを思い返したのか、フリオニールはただただ項垂れている。
…確かに瞬間的に怒りが芽生えはしたが、申し訳なさそうに頭を垂れるフリオニールを見ているとあまり怒っているのも可哀想に思えてくる…のは、もしかしなくてもきっと、ライトニングがフリオニールに対して相当甘いからなのだろう。
と言うよりも今のフリオニールが逆になんだか可愛く見えた…様な気さえして。
先ほどまであれだけ荒々しく自分の身体を征服していたのと同じ人間だとはとても思えなくて、ライトニングは胸の前で組んでいた腕を解きフリオニールの頬に手を添えた。

「私は乱暴なことをされたのを怒っているわけじゃない。ただ…お前が私を信じてくれなかったことに腹が立ったし…哀しかった」
「そうだよな…君が俺を裏切ったりするわけないって、分かってるはずなのに…ほんとに、ごめん」

しょんぼりとした表情のフリオニールに対して、ライトニングはもう怒ったりはしていない。
そもそも、勘違いの結果取った行動も…

 ―…こんなことしていいのは―俺だけなんだ。
 ―…俺のこと…好き、だよな?

最中にフリオニールが言ったことを思い返せば、ただただライトニングの愛情を確かめたかっただけの話で。
確かに手段に問題がなかったと言えば嘘になるが、動機さえ分かってしまえば単純なもので…

「まあ、それだけ私はお前に愛されているということなんだろうからな…ただ」

頬に触れていたのと反対の手で、フリオニールの肩を廃墟の壁に押し付ける―丁度さっき、フリオニールがライトニングに対してそうしたように。
幸いにしてフリオニールはまだ鎧を身に纏っていない。つまり…ひとつ、「手間」が省ける…わけで。

「えっ…?」

肩を押さえつけられた側のフリオニールはあっけに取られたような表情でライトニングを見つめている…
そのフリオニールの琥珀色の瞳を真っ直ぐ見上げながら、ライトニングは悪戯っぽい表情で微笑んで見せた。

「…私がやられっぱなしで黙っていると思っていたわけじゃない…な?」

そしてライトニングは僅かに爪先立って…フリオニールの唇を奪う。
何の躊躇いもなく舌を絡めながら、ライトニングは考えていた―力で勝てないのは分かりきっているがさてどうやってフリオニールを押さえつけるのがいいだろうか、と。
しかし逆に考えれば…先ほどの行為に対して罪悪感を感じているらしきフリオニールが今の自分に本気で抵抗するとは到底考えられない。ならば余程のことをしない限り、フリオニールが逃げることはないだろうとも。
まずは片手で邪魔なマントを外し、足元に叩き落とすと…唇を離して、フリオニールの首筋にきつく吸い付いた。
自分の首筋に残されたのと同じ、紅い痣…自分がフリオニールのものであるのと同じように、フリオニールが自分のものであるとはっきりと刻み付けられる証。

「ライト、あの…」
「さっき自分が私に何をしたのか覚えていないのか?」

問いかけるとフリオニールは気まずそうに黙り込む…やはり、今のフリオニールはライトニングには逆らえない。
そう考えた瞬間にライトニングに浮かんだ笑みはきっと、さっきまでのフリオニールのものによく似た嗜虐的なもので。
そう…ライトニングの逆襲は、まだまだ始まったばかり―


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