深愛-4/5-
「その…痛かったらやめるから。俺はその、こういう言い方するのもどうかと思うけど…自分でどうにかできるし」
「我慢できないと言っておいてそれか。この期に及んで遠慮する奴があるか」
その言葉を聞いてもまだ躊躇いがちなフリオニールを促すように、ライトニングの両手がその腰に回される。
「私は大丈夫だ。それに…それよりも何よりも私だって、お前とひとつになりたいんだ」
ライトニングのその言葉で覚悟を決めたのかゆっくりと、少しずつ…押し当てる力が強くなる。
溢れる蜜と入り口の固さのせいか初めは上手く入らずに何度か滑らせてそのたびに慌ててフリオニールが体勢を立て直す。
普段であればその可笑しさに笑いのひとつも出そうなほど慌てているフリオニールの様子を見ていても、今のライトニングに笑っている余裕はない。
そして幾度かの失敗の後にようやっと、昂ぶりがライトニングの身体を割り開くように押し入ってくる。
まるで引き裂かれるようにすら感じる―はっきりと言えば、痛い。慣らされていたとは言え入ってきたものの大きさが違うのだ、流石に痛い。
しかし今、間違いなく自分はフリオニールとひとつに繋がっている―痛みよりも大きなその悦びがライトニングを支配する。
根元まで押し入れただけでも既に肩で息をしているフリオニールが切なそうな目でライトニングを見つめていた。
ようやく奥まで繋がり合ったというのに、フリオニールはその体勢のまま動こうともしない。
「…まだ…遠慮、しているのか」
痛みに囚われないように時々息を吐いて力を抜きながらそう問いかけると、フリオニールは首を横に振った。
眉を下げ、どこか困ったような表情でライトニングをじっと見つめている。そして恥ずかしそうにごにょごにょと口を開いた。
「いや、なんていうか…気持ちよすぎて、その…多分、動いたらあんま保たない」
「…大丈夫だ…今の私に、そんな、ことまで…気にする、余裕は…ない、から」
「ライト…」
「だから、お前の…好きに、動いたらいい」
ライトニングのその言葉にフリオニールは小さく頷き、肩で大きく息をしながらゆっくりと腰を引く。
「痛くないか?」
「…痛い…でも、遠慮は…するな」
フリオニールはこくりと頷くと、一度半分ほど引き抜いていた昂ぶりを再度ゆっくりと奥まで押し進める。
先ほどよりはスムーズに奥まで届き、それでも気を使うようにゆっくりと腰が引かれる。
そして3度目に貫かれた、その時。
「…っ……!」
フリオニールが小さなうめき声を上げ、ライトニングは身体の奥で熱が放たれたのを感じる。
そのままフリオニールは肩で大きく息をしながらライトニングの上に倒れこんだ。
「…あ…ごめん、俺…」
「どうして、謝るんだ」
身体が慣れてきたのか少し痛みも収まってきたところで倒れ込んで間近にやってきたフリオニールの頬に触れながらそう問いかけると、フリオニールは気恥ずかしそうに目を逸らした。
「あの、なんていうか…俺一人だけ満足して、ライトはあんまり気持ちよくなれなかったんじゃないかと思って…痛そうだったし」
「痛いのは慣れてないからだ…気にするな。それに」
頬に触れた手を少し後ろに動かし、フリオニールの髪に指を絡ませながらライトニングは真っ直ぐにフリオニールの目を見つめる。
そのままゆっくりと顔を引き寄せ、唇を重ねた。
「お前が満足したのなら…それだけで私は嬉しい」
確かに自分で言った言葉だし、その気持ちに嘘など全くない。
それに今の状況を考えたらこんなことを考えるのは明らかに可笑しなことではあるのだが―
その言葉はなんだか気障過ぎて恥ずかしいような、そんな気がして思わず目を逸らした。
…さっきまで何度も聞いていた、フリオニールの喉が鳴る音がまた聞こえる…