深愛-1/5-






重なり合った唇は一度離れては名残惜しそうにまた触れ合い、そしてまた離れては近づいて重なり合う。
どこかぎこちない動きながらも数え切れないくらいの口付けを重ね、ようやく目を開いた2人はどこか照れたように見つめあった。

「ちょっとだけ待っててくれ…とりあえず、ここに座ってたらいいから」

フリオニールはそう言うとまずはマントを外し、それを地面に広げる。

「マント…汚れるぞ」
「別に構わないさ」

本当に全く頓着していないのだろうな、などと思いながらライトニングはフリオニールが広げたマントの上に腰を下ろす。
それとほぼ時を同じくしてフリオニールは慣れた手つきで着込んだ鎧を脱ぎ始めた。
ライトニングは自分の膝の上に肘をついて掌に顎を乗せ、そのフリオニールの様子をじっと見つめている。
軽鎧であるとは言え全身をカバーするその鎧を脱ぐのにはやはりそれなりに時間がかかるようで…

「手伝おうか」
「だ、大丈夫だから…少し待っててくれって」

恥ずかしそうに目を逸らしたフリオニールを見て、ライトニングには笑みが浮かぶ。
今から自分達がしようとしていることを考えたら、鎧を脱がせるくらい恥ずかしくもなんともないはずなのに。
そう言えば誰だったかが言っていたな、フリオニールはあの年齢には珍しいくらい初心だと。
ぼんやりとそんなことを思いながら、最後のパーツ…脛当てを外してこちらに歩み寄ってきたフリオニールを出迎えるようにライトニングは座ったまま両腕を広げる。
その行動に一瞬躊躇ったような表情を浮かべたフリオニールだったが、ライトニングの意図することがわかったのかその前にしゃがみ込む―ライトニングの腕がフリオニールの背中に回り、そのまま引き倒すように横たわる。
バランスを崩さないようにフリオニールは片手を地面について身体を支えながらもう片方の手をライトニングの背中に回した。
先ほどは鎧越しでわからなかったが、こうして触れると…男性であり、また普段あれだけの武器を持って歩いているのだから当然といえば当然かもしれないが―服越しとは言えしっかりとした筋肉の感触を感じてライトニングは不意に嬉しくなる。
他の仲間や…このフリオニールの様子を見る限り元いた世界でもフリオニールにこのように抱きしめられるのは自分が初めてなのだろう。その考えがライトニングの心を強い幸せで満たしていく。

「…柔らかい…」

ライトニングの想いを知っているのかいないのか。フリオニールはぽつりとそんなことを呟いた。
確かに、先ほどは鎧で阻まれていて気付かなかっただろうが布越しとは言え今はライトニングの胸がしっかりとフリオニールの身体に押し当てられている。

「触ってみるか?」
「え…いや、そんなつもりじゃ」

慌てたように首を横に振るフリオニールに、ライトニングからは笑みがこぼれる。
本当に、どこまで初心なんだか。

「…さっきは敢えて言わないでおいたが、今から自分が何をしようとしているか考えたらこの程度で恥ずかしがっている場合じゃないだろう」
「そ、それは…そうだけど」
「私に遠慮しているならそんなものはいらない…今の私はお前だけのものだ、フリオニール」

その言葉に呼応するようにフリオニールの喉が鳴り、そして背中に回っていた腕が解かれる。
解かれたのを確認してライトニングはフリオニールの手首を握り、そしてその手を自分の胸元に導く…
そのまま恐る恐ると言った様子でフリオニールの掌が服越しにライトニングの胸に触れた。
触れた瞬間にフリオニールの言葉からは反射的に言葉が漏れる。

「…柔らかい」

結果としてさっきと同じ言葉になったのが何故か可笑しくてライトニングはくすくすと笑いながらその上から手を重ねる。
言葉には出さずに、もっと触っていいんだと許可を与えるように。
それに呼応してかその感触を確かめるようにフリオニールは指を動かす。
誰が見ても明らかに大きいと分かるほどの大きさはないまでも、確かな柔らかさを持った胸にその指はふわりと沈み込み、そして柔らかな弾力に押し返される…
最初は戸惑い気味だった手の動きが、段々とその感触を楽しむように大胆になっていく。
時折その指が敏感な部分に触れて、その度に今までに味わったことのない感覚が身体を満たし思わずライトニングは吐息を漏らした―

「え、と…もしかして、気持ちいい…?」

ライトニングの反応を見てか躊躇いがちにそう尋ねるフリオニールの言葉に首肯し、嬉しそうなその笑顔に気付けば笑みがこぼれる。
そしてライトニングは腰に巻いているベルトを緩め、胸元にあったフリオニールの手をインナーのジッパーに導いた。

「…開けろ…ってことか?」
「ああ…直接、触れられたくなった」

言われた言葉に呼応するように緊張した面持ちでフリオニールはジッパーを下ろす。
一瞬その左胸を見て何かを言いかけたフリオニールではあったが…すぐに口を噤んだ。
フリオニールが言いかけたことは自分にも解る。だが、恐らくフリオニールの側もわかっているのだろう。説明を求めたところで、今の自分は説明できるほどの記憶を残していないということを。


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