くちびるに愛を乗せ-2/6-






「そう言うことこそ壁にでも話していればよかったんじゃないのか」
「壁に話しても返事してくれないだろ」
「だが俺も的確な返事ができそうにはないぞ」

スコールは再度大きく息を吐いた。

「…寧ろお前には宿敵どうこうを差し置いてもお前の話を聞いてお前のことをきちんと理解して、的確な返事を返せる存在がいるじゃないか」
「ライトに話せって?…それも考えなかったわけじゃない、けど…」

フリオニールはそこで一度言葉を切る。しかし、その続きが出てくることはない。
焦れたようにスコールは続きを促す…

「けど…何だ」
「ライトに話しちゃったらその…俺多分、考えることが途中で別の方向に行っちゃいそうで怖いんだ」
「別の方向って」
「…自分が全くしたこともない、試してみようと思ったことすらないことを見ちゃったからさ、それで」

言葉にはしないまでも、なるほどそう言うことかとスコールは瞬時に理解する。
彼だって男だ。そして元の世界に愛しい人を残してきている―そして、元の世界で「何もなかった」わけではない。
フリオニールがライトニングに対して抱いている、見ようによっては邪とも取れるかもしれないその感情の意味は男として当然理解の範疇であるし、その感情の先にあるものを知っているからこそ…

「ライトに拒否されるのが怖いか?」
「違う…変な自信だけど俺が望んでしまったらライトは多分嫌がったりしないと思う。でも、あんなことライトにさせられないって言うか…」

ただの惚気じゃないか、と口から出かけたがその言葉は結局スコールの心の中だけに留まることになり。
そしてフリオニールのその言葉で、これ以上は自分がこの話を聞くべきではないのではないかとも思えた。
あとは、フリオニールとライトニングの間の話だ…と。

「………とりあえず、話はこれで終わりだ。後はお前が考えろ」

スコールはそれだけ言い残してフリオニールを残し、その場を立ち去った。
そもそもお前は一体どんな光景を見たんだとか、大体一体どこで何をしていてそんなもんを見るに至ったのかとか、お前一瞬見て立ち去ったわけじゃなくて結構長時間しっかり見てたんじゃないのかとか言いたいことは山ほどあったがその言葉をフリオニールに敢えてぶつける必要はないだろう。
そして、フリオニールから少し離れたところにライトニングの姿を見つける…一応、話を途中で打ち切ってきたことへの罪悪感はないわけではなく。

「ライト」

スコールがその姿を認めたのとライトニングに声をかけた間にはほんの一瞬の差すらなかった。


…一方、取り残されたフリオニールは。

「後はお前が考えろって言われてもな…スコールは現場を見てないからそんなことが言えるんだって」

はあ、と大きく息を吐いていた…が、自分の目が無意識にライトニングの姿を探していることに気がついて心の中だけで苦笑いを浮かべる。
そもそも、目撃した瞬間は動揺していた癖にある程度の時間その光景から目が離せなかったのも事実で。
では何故目が離せなかったのかといえば…先刻スコールには「ライトにあんなことさせられない」とは言ったが実際「それ」に興味があるからだと言うのは否定のしようがなく、だからこそ彼は悩んでいた。
きっとライトニングは拒否したりしないだろうとなんとなく分かるからこそ余計に悩みは深まる一方で…


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