俺には勿体無いくらい






仲間達が戦いに出ている間、ふとフリオニールが目をやると…その先では、女性たちが4人で集まって何かを話し合っていた。
4人の表情はどれも楽しそうで、それはまたライトニングも例外ではなく。
何を話しているのかはあまり聞こえないが、先ほど辛うじてティファのものだと思われる声でクラウドが、と言っているのが聞こえた―ともすれば、話題の中心にあるのは彼女たちの恋人のことなのかもしれなかった。
そう考えると自然、フリオニールの視線が移るのはライトニングの横顔。
いつものように落ち着いた表情ではあるが時折楽しそうに笑顔を見せるのに気づき―その笑顔に、視線を奪われてしまう。
ライトニングの笑顔など見慣れているはずなのに、どうしてこんなに心を引き付けるのか…そんなことを考えながらもどうしても、今のフリオニールはライトニングから視線を離せない。

「なーに見てんスか、フリオニール」

視線の先のライトニングを見つめることに集中しすぎていたからだろうか。後ろからタックルでもするかのようにティーダに肩に手を回され、フリオニールは驚いたようにそちらを見る。

「…驚かすなよ、ティーダ」
「そんなに驚くほど集中してたんスねー…何?ライトがそんなに気になる?」
「分かってて何見てるのかって聞いたのか、お前」

呆れたようにひとつ息を吐きながらも、ティーダの言うことは決して的外れでもなんでもなく、自分がライトニングを見ていたのは間違いないことで―ティーダの言葉に答えはしたものの、フリオニールは視線をライトニングから移すことはない。
今度はティナが何か言ったのだろう、ティファとユウナが同時に吹き出しライトニングもまた楽しそうに笑っている―その笑顔がなんだかとても魅力的に見えて余計に目が離せない。
それに気づいたのか、ティーダもどうやら視線をライトニングのほうへと送った、らしい。

「こうして見るとライトも普通の女の子って感じっスよね。ま、女の子って言っても年上なんだけど」
「一体ライトをなんだと思ってたんだ」
「いやー、ライトって結構感情表に出さないし…そりゃー、フリオニールはそうじゃないことも知ってるんだろうけどさ」

ティーダの言葉に秘められたからかうような響きには気づかなかった振りをして、言葉の中身だけを噛み締める。
他人から見れば感情を表に出さない、冷たくすら見えるライトニングが隠し持った優しさも人には見せないようにしている弱さも、何もかもを自分は受け止めているつもりだ。
自分がそこまで、誰かを受け止められるほど強いかと聞かれれば分からないとしか答えようはなかったが、それでも…

「でもほんとに、勿体無いくらいだと思う…ライトの一番近くにいるのが俺なんかでいいのかな、って心配になるくらいに」

その言葉と共に一瞬だけ走る沈黙…それからすぐに、ティーダの口から漏れる言葉。

「ユウナから聞いたんスけどね」

ティーダが呟いたその瞬間…ずっと視線で追いかけていたライトニングがふと、こちらを見た。
ライトニングの視線の行く先に気づいたのか他の3人もフリオニールに…ユウナはその肩に手を回したままのティーダにも視線を送る。
それからすぐにライトニングが何か言ったのだろう、3人は釣られたかのようにライトニングに視線を戻し…そして、同時に笑顔が零れた。
一体ライトニングは何を言ったんだろうか、そんなことがふと気がかりになったりもして。

「ライト、フリオニールの話してるとき凄い楽しそうにしてるんだって。近くで見てて、ほんとにフリオニールのこと好きなんだなぁって分かるってさ」

その言葉になぜか気恥ずかしくなって、一瞬だけライトニングから視線を逸らす…何故だろう、顔が熱い。
再びちらりとライトニングに視線を戻すと、ライトニングは穏やかな笑顔でこちらを見つめていた。
その様子を見ながら、ティーダは楽しそうに一言だけ。

「顔真っ赤っスよ」
「…うるさいな」

勿体無いなんて、思うこともあるけれど。
今の自分は確実にライトニングに愛されているんだな、とそんなことをふと実感して…フリオニールは途方もない幸せを心の中だけで噛み締めた。







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