Chapter/15-3/4-






そして忍び笑いの声が消えたところでクジャは芝居がかった動きで掌を翳した。その指先はしなやかな動きでとジタンの方へと向かう。
先ほどまでと同様に余裕ぶった表情で笑っているジタンは、クジャの掌が自分を指し示すことを予測していたかのように再び口の端を上げた。まるで、何でも言えよと促すように。そしてそれに答えるかのようにクジャの言葉が続いた。

「ジタンにこれ以上借りを作りたくない…だから君を危険に巻き込みたくはないが、どうせ君はそう言っても勝手に巻き込まれるんだろう?」
「当たり前だろ?お前達も仲間達も、オレが守れるヤツは全員守るし助けられるヤツは全員助けてみせる」
「全く。どうしようもないお人よしだね、君は」

ふぅ、と息を吐いてみせるその動きさえまるで何かを演じているように見えて―だが、それがいつものクジャなのだと彼らはもう分かっている。だからそれに対して何かを言うような者はもう存在しなかった。
次に口を開いたのは―黙ってそのやり取りを聞いていたセシル。

「僕だってジタンと同じだ。僕に守れるものは全て守り抜く。兄さんもカインも、みんなのことも―それでこそ、騎士だと思ってるから」
「生憎だが、俺はお前に守られなければならんほど弱くはない―俺だって、仲間達を守ってみせるさ」

頷きあったセシルとカインの間にあるのは確かな信頼。その会話を聞いていたゴルベーザもまた深く頷いているのが妙に印象的で―セシルとゴルベーザの兄弟の絆、セシルとカインの友情の絆。目には見えない糸が3人を確かに繋いでいるように、仲間達には見えていた。

「…それなら、僕はティナとみんなを守る。僕だって騎士なんだ、それに―あいつに、子供だってバカにされるのは悔しいから」

決意を確かめるかのように小さな掌をぎゅっと握り締めたオニオンナイトの頭に、ぽんぽんとラグナが触れた。

「よく言った。お前が頑張ったらあのお姉さんはオレたちに力を貸してくれるかもしれないんだからな」
「ラグナが拘ってるのは結局そこなわけ?」

呆れたように呟かれたオニオンナイトの言葉は聞いていない振りをしたのかそれとも本当に聞いていないのか、ラグナはにぃっと笑いながら両手で口の周りを囲むようにして大きな声で呼びかけてみせる。

「と、言うわけだから。どうせ聞いてんだろ?何かあったらお姉さんもいつでもオレたちを頼りゃいい。オレ達はきっと、あんたのことも守ってみせるさ」

その刹那、びゅうと鋭い風が吹いたのは―きっと偶然。
だが、それだけでラグナは何故か満足そうに笑いながら頷いていて…そのラグナの様子を見ていると、案外本当に今のラグナの言葉は姿を見せることのない暗闇の雲に届いたのかもしれないと思えてくる―


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