Chapter/15-2/4-






「アルティミシアが何を考えているのかは分からないが、それならばアルティミシアは俺が倒す」
「私も戦う。…ケフカを止められるのはきっと私だけだから」
「おれは割となんでもいいんだけど、おれがエクスデスと戦うことで皆を守れるんならおれも戦うよ」

スコールの、ティナの、バッツの言葉はかつて彼らが一度口にしたことではあったがそれを今再び言葉にすることによって決意を新たにしようとしている―そんな風にも見えて。
それぞれの決意を確かめるかのように、ウォーリアオブライトは再び大きく頷いてから再びその声を仲間達へと届けんと口を開いた。

「明日より我々は混沌の大陸を―皇帝の居城を目指す。先方がイミテーションを掌握している以上、混沌の大陸に近づくに連れて戦いは厳しくなると考えておいた方がいい」
「それをぶっ飛ばすのは、『絶対に戦わなきゃいけない相手』がいないオレ達の役目っスよ。な、ユウナ…それに、オヤジ」
「ったくガキが、いっちょ前に言うようになりやがって」

ティーダから視線を反らしたジェクトがどこか照れているようにも見えて―この複雑な親子の関係については、行動を共にするようになって改善されたようにも見えてはいたが、それでもジェクトの呟きにティーダがどこか不本意そうに視線を反らしたところを見る限りは本人たちの間では案外そうでもないのかもしれない。
微かに笑みを浮かべるユウナはもしかしたら、そんなそんなジェクトとティーダの関係を見て取った上で何かを考えているのかもしれない。

「この戦いに於いては我々はそれぞれに為すべきことがあると考えている。私は―この戦いがどんな結果に終わろうとも、最後まで君たちを守ると誓おう。コスモスの名にかけて」

言い切ったウォーリアオブライトを見つめる仲間達の目が語っていたのは、彼への信頼。
そもそも、かつて神々の戦いの中でも彼は皆から信頼を受けていた―だがこうして、不器用な彼がはっきりと言葉にすることによって仲間達の中にあるウォーリアオブライトへの信頼はより強まっている。
彼が仲間達を束ねていた戦いを知らないはずのプリッシュでさえ、そのウォーリアオブライトを見上げる視線に信頼を含ませている―その信頼に応えるかのように、ウォーリアオブライトの視線にもまた仲間達への強い信頼が見て取れる。
かつて共に神のために戦った仲間達と―危険を知りながらもかつての仲間から離反し彼らに力を貸すことを決めた混沌の神の戦士だった者たち。その全てを守ると言い切ったウォーリアオブライトの強さは、仲間達にとってはとても眩しいものだった。
コスモスが既に亡いこの世界に於いて、彼は自ら身を持って戦士達を導く光になろうとしている―ウォーリアオブライトを見つめたままの仲間達誰もがそんな風に考えていた。

「ともあれ、今日は早めに休むものとする。明日からは混沌の大陸に向けて長い旅が始まるのだからな―今日は各自、ゆっくりと休息を取るように」

それだけ言い残して、ウォーリアオブライトはひとつのテントへと足を進める。彼自身もひずみの中で疲れを抱えてきたのだろう、彼を止めるものはもう誰もいなかった。
そして、残された仲間達はと言うと―

「まあ、僕は別に君たちの為すべきことが何かなんて興味も関心もないけど」

真っ先に口を開いたのはクジャだった。
いつもの如く自信を湛えた笑み、戦士達をどこか小馬鹿にしているようにすら見える表情ではあったが―もはや、戦士達の誰もそれを咎めるものはいない。
クジャと共に行動するようになって、それぞれに分かっていることがあったから―

「けど、あなただって皇帝に負けたくないって言ってたでしょ?だからあなたも戦う…違う?」
「無駄口を叩かないでくれないか…無駄に多いのは露出だけにしたらどうなんだい」
「…まさかあんたがそれを言うとは思わなかった」

いつもの天真爛漫な笑顔でそう問いかけたティファの声に返されたクジャの言葉、そして混ぜ返す意図はないのだろうがぽつりと一言放たれたクラウドの呟きに仲間達が笑いを堪えていて―そんな些細なことが、既にクジャのことも皆が仲間として受け容れているのだということを示している。
それを見ているジタンが嬉しそうに笑っていたのは気のせいなのか―それとも。


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