Chapter/13-1/4-






ガーランドを退けた一行は再び足を進める…たどり着いたのは、見た目にも奥深いと思えるひずみであった。
ただ深いだけでなく、どことなく禍々しい気配すら漂っているように感じる―プリッシュの発言から考えるに、この奥に潜んでいるのはかつては混沌の神に仕えたものである、らしかった。

「博士がさ。アイツだったら頼りになるかもしれないって言ってたのをなんとなく思い出したんだ。俺も微かにしか覚えてねえけど」

そう言ってひずみの入り口に立つプリッシュの表情はどこか明るい。
混沌の神に仕えていた者がそう簡単に自分たちに協力するだろうか、と言う思いも仲間達の中にはないわけではないが…だが、それでも頼れるものには頼るべきだろうと言う考えもないわけでなく結果としてそのひずみの奥へと進むことに異論を唱えたものはいなかった。

「…そんな話だけは聞いたことがある。かつて戦いの場より逃れる為自ら命を絶った戦士がいたと―セフィロスが先の戦いで自死を選んだ時、皇帝がそう言っていた」
「自ら命を絶ったものの、この世界を取り巻いた『輪廻』の力で呼び戻されひずみの奥深くに潜んでいる…と言うこと、なのかな」

ゴルベーザの呟きにセシルが答えるように返し、それに対してゴルベーザは大きく頷いていた―そして、それぞれが顔を見合わせる。

「そんな経緯がある者がほんとうに協力してくれるものかどうか…私には判断がつかないな」
「だから会いに行くだけ会いに行く、ってこった。ダメモトでいいじゃねえか、博士にだって1回は断られてんだし、気にすんな」

プリッシュはそう言って早速ひとりひずみに向けて足を進める。流石にその肩をウォーリアオブライトが掴み、他の仲間達のほうをちらりと伺った。

「私とプリッシュだけで行くわけには行かないだろう…他にも誰か来てもらいたいのだが誰がいいだろうな」

流石にこれだけの人数がいるのだ、能力のバランスなども考える必要がある。
ウォーリアオブライトは仲間達の姿を順番に目で追う…その時、集団の後ろの方からはっきりとした声が上がった。

「オレ、行くよ」

声の主…ヴァンを全員がいっせいに視線に捕らえる。
ヴァンは見られていることなどお構いなしといった風情でウォーリアオブライトに駆け寄り、その隣に並び立った。

「オレ、なんかここに見覚えがあるんだ。だからオレも行く…なんでだか分かんないけど行かなきゃいけない気がするんだ」
「珍しいな、ヴァンがそこまで自己主張するなんて」

感心したように呟いたライトニングの言葉に全員が一様に頷く。
普段のヴァンと言えばもっと気楽な雰囲気をまとっていると言うのに何故だろう、今のヴァンは誰がどう見ても真剣そのもの―だからこそ逆に、誰もヴァンを止めようとはしなかった、のかもしれない。

「ではヴァン、共に来てくれるか。…あと2人ほど、誰か…」
「魔法を使える人がいたほうがいいでしょう?私…行きます」
「ユウナが行くならオレもついてくっスよ」

ユウナが名乗りを上げたことで当たり前のようにティーダも手を上げ、2人はヴァンと同様にウォーリアオブライトの側へと歩み寄った。
しっかりと決意の光を灯したユウナの瞳、そしてそのユウナを守るかのように隣に寄り添い並び立つティーダの姿を、仲間達は眩しいものでも見るかのように見つめている。

「…それではこのひずみへは我々5人で向かう。君たちは野営の準備をしておいてくれないか」
「ああ、分かった。気をつけて」

フリオニールがそう答えたのとほぼ時を同じくして、まずはプリッシュが、そしてヴァンがそのあとに続いてひずみに飛び込んだ。
その後ろに並んでユウナとティーダ、しんがりを守るようにしてウォーリアオブライトがひずみに入りかけ…一度仲間達を振り返り、その姿を視線で捉えてみせる。
全員が答えるように頷きや微笑みを向け、確かめたことで安心したかのようにウォーリアオブライトはひずみの中へと姿を消していった―


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