Chapter/10-5/5-
「…何だったんだろうね、今の」
「私が知るか」
セシルとライトニングのそんな会話に、残るフリオニールたちはただ苦笑いを浮かべることしか出来なかったのであった。
―そして…この出来事のせいで、フリオニールは自分の中に微かにあった「違和感」の事を忘れてしまっていた―
そんな謎の邂逅もありながらも、一行は仲間達の元へと戻る。
ひとりはぐれたというセシルの行方はみな心配していたらしく、仲間達は皆笑顔でセシルと、そしてセシルを探しに出ていた4人を出迎えた。
しかし、セシルがイミテーションの襲撃を受けたという話を聞くと…それぞれの表情がまるで暗雲の如く染まる。
「やっぱり…ちょっと気を抜くことも出来ないっぽいっスね」
ぽつりと呟いたティーダの言葉に何か言葉を返すものはない…それが何よりも、その言葉を肯定する意思を示している。
イミテーションが誰かを探していたようだ、と言うその言葉もまた、彼らの不安要素を駆り立てる―イミテーションは恐らく、皇帝の命を受けて誰かを探していたのだろう。では一体、誰を?
「ともかく、こういった状況だ。なるべくそれぞれ単独行動は控えるように。皇帝が何を狙っているのか、我々にはまだ推測がつかない以上迂闊な行動もしないよう気をつけるんだ」
ウォーリアオブライトの言い放った言葉に、全員が一様に頷いていた。
それぞれの表情には不安であったり、戦いへ向かう緊張感であったり…様々な色が浮かんでいる。
そしてこのとき、フリオニールは気づいていなかった。自分の一歩後ろにいたライトニングが浮かべていた、悔しそうな…どこか苦々しい表情のことにも…イミテーションが探していたのはライトニングだったのだということにも。