Chapter/09-5/5-






先ほど「あんなこと」があったばかりだと言うのに些か無警戒が過ぎるかもしれない。
フリオニールに口付けをねだりながらライトニングはそんなことを考えていた。
それでもどうしても、今は…確かめたかった。自分がフリオニールを愛していること、フリオニールに愛されていることを。
その為には言葉だけではどうしても足りなくて―

「…もしかして、俺がいない間寂しかった…とか?」
「別にそう言うわけじゃない…ただ」

座ったままのフリオニールの太腿の辺りに跨った状態で、ライトニングはフリオニールの背中に腕を回す。
愛している、誰よりもフリオニールを愛している…そう叫びだしたいくらいに、フリオニールが愛しくて仕方なくて。
そのことがライトニングにとっては誇りだったし、たとえ相手が誰であってもその誇りを汚すことは許さない―先刻のアルティミシアとの対峙でその想いを更に強くしていた。
だから、今は。

「私がお前を愛しているだけじゃない…お前も私を愛しているということをこの身体に刻み付けて欲しいんだ」

ライトニングの言葉に一瞬虚を突かれたような表情を浮かべ視線を逸らしながらも、服の上から身体をなぞるフリオニールの手にライトニングは少しずつ翻弄されていく。
何も考えたくない、今はフリオニールのことだけを考えていたくて。
だがいつものようにインナーを脱がせようとライトニングの首元に運ばれた時、ライトニングは慌てたようにその手を振り払った。

「今は非常事態だからな…脱がずに済むならその方がいいだろう?」

身体に残る、未だ癒しきれていない傷痕を見せたくないが為の言い訳ではあったがそれをフリオニールは素直に信じたらしく、そうだよな、なんて短く呟いて着衣の上からライトニングの身体を攻め立てていた。
嘘をついてしまったことに対しての罪悪感や直接触れられないもどかしさが全くないわけではない、それでも―フリオニールに素肌を見せるわけにはいかなかった。
それに…着衣のままでも、ライトニングの身体を知り尽くしているフリオニールの愛撫はライトニングを溺れ蕩けさせるには充分すぎるもの、だったし。
触れあい、高めあい、そして繋がり合って乱されてゆく…こうして愛を確かめ合う、それはどこまでもいつも通り。
そして、いつものように…そこには強くフリオニールの想いを感じる。

「奪ってくれ…私の全てを…」

うわ言のようにそう呟きながら、身体中を支配する甘やかな痺れとフリオニールの愛にただ身を委ねる―目の前で切なげに表情を歪めるフリオニールに自分から口付けながら、ライトニングは確かめていた。
例え誰が何を言ってこようとも、フリオニールが今のフリオニールである限り自分はずっと常にその隣で見守っていたい―と。


←Prev  →




MENU / TEXT MENU / TOP
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -