Chapter/07-4/5-






「世界の支配を目論むカオスの戦士―それに逆らった者と、そして貴方達が一緒にここへやってくる。わたくしの力を借りたいと…そう言う話だと解釈すれば良いですわね?」
「ああ…あなたは話が早くて助かる」

我が意を得たり、とウォーリアオブライトが頷くがそれに対してシャントットは両手を広げてみせる。
その表情に浮かぶのはどこか、彼らを見下しているようにも見える。無論それは、いつものシャントットの姿―

「残念ながら、わたくしはわたくしの平安が守られればそれで構いませんの。今更戦いの場に出て行く気もございませんわ」
「皇帝は…ただそれだけの願いを、些細な希望すらも打ち砕いてきた。それも、とてつもない人数の」

一歩前へ進み出たフリオニールのその語気に、スコールとジェクトが同時にそちらを見る。ゴルベーザとウォーリアオブライトは黙ったまま、シャントットの方を視線で捕らえたまま。
シャントットはあら、と小さく呟きながら自分に近づいてくるフリオニールを見遣っている。その表情には珍しいものを見たときのような…どこか楽しそうにも見える笑みが浮かんでいた。

「あなたが自分の平安が守られればそれでいいと言う気持ちは分からないわけじゃない。でも…あなたのその願いも、俺たちや仲間達の想いも、願いも祈りも全てが…あいつに踏みにじられるかもしれないんだ…!」

力強く握られたフリオニールの拳…そして再び彼の脳裡を過ぎる想い―いっそ覚えていなければ。
しかしそれでも、確かに取り戻してしまった元の世界の記憶を捨て去ることも忘れたふりをすることも、フリオニールに出来るはずがなくて―それは戦いの場では器用なのにどこまでも不器用なフリオニールの生き様。
爪が掌に食い込むのではないかと思えてしまうほどきつく拳を握り締めたフリオニールを一瞥し、シャントットはさも可笑しそうに声を上げて笑う。
ジェクトの眉が一瞬不愉快そうに歪んだが、ジェクトの前にゴルベーザが腕を伸ばす…ともすればジェクトがシャントットに殴りかかりでもしないかと心配したのだろうか。
戦士達のそのやり取りを笑いながら眺めていたシャントットではあったが、興味深げな視線をフリオニールに向ける。

「そんな青臭いことを平気で言える人を久しぶりに見た気がしますわね…よござんす」

つかつかとフリオニールの足元に歩み寄ったシャントットは、いつの間にか唇を噛み締めていたフリオニールをじっと見上げ…そして、その顔を指差した。
それが失礼に当たるなどとは全く考えてもいなさそうな、いつもの自信に満ち溢れたシャントットのその態度…それに対して何かを言うことが出来るものなどいるはずがなくて。


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