Chapter/06-4/4-






「私…もっと詳しく聞かせて欲しい。あの人が、ケフカが皇帝と一緒に行動しているというなら…私も、戦う」
「ティナ…無理はしなくていいんだぞ?今のティナは無理に戦う必要は…」

ティナの一歩後ろあたりに残された形になるヴァンがそう言って心配そうにティナを見つめている…しかし、その言葉に対してティナは首を横に振った。

「ううん。私も戦わなきゃいけない…ケフカを止めることが出来るのはきっと私だけなんだって、今の話を聞いていてそう思ったの」
「…ティナ」
「私も一歩間違えばケフカのように壊れてしまっていたかもしれない…だから、私はケフカを放っておくことなんてできない」

一行は皆、ティナのその姿を驚いたように見つめている。
かつて戦うことを躊躇っていた姿を知っている者はなおのこと、ティナがはっきりとそう言い切ったことに対して驚きを隠せない様子でさえあって、それぞれに顔を見合わせていたりもするが…そのどよめきを遮るように、口を開いたのはオニオンナイト。

「皆が心配してるのは分かるけど、大丈夫…ティナが戦うって言うなら、僕がティナを守るから」
「んじゃ、オレはそのティナとネギ坊主を守ってやらなきゃいけないんだろうな」

オニオンナイトの言葉に呼応したかのようにヴァンがそう続け、2人の言葉にティナは笑みを浮かべて2人を交互に見つめている…オニオンナイトの表情はどこか拗ねたようなものにも、それでいてほんの少し安心しているようにも見えるのは何故だろうか。
それを確かめたかのように、黙って話を聞いていたバッツがにぃっと笑みを浮かべてスコールの背中を叩いた。

「…なんだ、急に」
「そんならおれはアルティミシアと戦わなくちゃいけないスコールを守るべきなのかなって。あとジタンも、ついでにクジャも」
「僕はついでかい?しかも、エクスデスと戦うべきだと思わないあたり君が理解できないよ」

呆れたようなクジャの呟きに対して、バッツは笑顔のまま指を振ってみせた。
そのまま繋がれた言葉はいつもの彼らしい…どこか能天気にも感じられるが、それでもその奥底に力強さを秘めたもので。

「おれはティナみたいに、どうしてもエクスデスをおれが止めなきゃいけないって思ってるわけじゃない。でもおれがエクスデスと戦うことで結果として皆を助けたり守ったりできるならそれでいいかな、とは思ってる」
「バッツらしい…と、言うべきかもな」

スコールが漏らした一言にジタンも大きく頷き、3人はそこで目を見合わせて…スコールだけは真剣な表情のまま、バッツとジタンは笑みを交し合う。
その微笑みに釣られたかのように仲間達の間にも…決して安心できるような状況ではないが、それぞれに微笑みが浮かぶ。

「…役割がある人はそれを果たす。今のところ役割のない私たちは全力でそれをサポートしつつ自分自身と他の仲間達を守る…そう言うことで、いいのよね?」

確認するようにそう呟いたティファの言葉に、全員が大きく頷いた。
そして、その言葉を補足するように…いつものように両手を大きく翳してみせながらラグナが続ける。

「役割がないのはあくまで『今のところ』だしな。オレたちにも何か成すべきことが出てくるかもしれない…それに備えておけってことでいいんだろ、今は」
「…そうなるな。本当は皆を巻き込みたくはなかったがこうなった以上そうも言っていられない」

ウォーリアオブライトの言葉はどこか無念そうに聞こえる…しかし、そのウォーリアオブライトの背中をティーダが軽く叩いてみせた。

「けど、遅かれ早かれこうなった気はするっスよ」
「そうだ。お前が後悔することじゃない」

ティーダとカイン、それぞれの言葉にウォーリアオブライトは唇を噛みながら…すまない、と小さく呟いた。
彼は彼なりに思うところがあるのだろう、それを申し訳ないと思いこそすれ咎める者など当然誰もいるはずがなく…その場を支配しかけた暗い空気を振り払うかのように聞こえた声はユウナのもの。

「大丈夫…みんながいるならきっと、わたし達は戦えます」
「そうだね。僕達は負けたりしない…今までも、皆で力を合わせて困難を乗り越えてきたんだから」

付け加えるようにセシルがそう言い、それぞれが頷き合う。皇帝とそれに付き従うものたちの支配の野望を止める、そのために戦うと確かめ合うように―
クジャだけは馴れ合いを嫌ってか視線を合わせることはなかったが、それでもその表情が―かつて彼と戦った者たちでさえ見たことのない安らいだものであったことに気づいたのは、きっと隣に立っていたジタンだけだろう。


←Prev  →




MENU / TEXT MENU / TOP
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -