Chapter/00-2/2-






「…その様子だとお前たちは皇帝に従うことを拒んだようだな」

なんとか皇帝の居城を抜け出した2人の目に映ったのは―セフィロスの姿。

「セフィロス…てめぇはどうなんだ?答えによっちゃ…」

ごきり、とジェクトの拳が鳴るがセフィロスはその様子を気に留めるでもなく2人に背を向ける。

「私がこの世界に再び喚ばれた理由―それを解き明かすには元の世界の記憶が必要になる、私はそう考えている」
「…何が言いたい」

ゴルベーザの声に、セフィロスは微かに笑みを浮かべてみせる―まるでそれは、2人を見下すかのようにも見えて。
しかし仮にそうだとしても皇帝のそれとは明らかに違う種類の薄い笑みに、一瞬だけゴルベーザの背筋に戦慄めいたものが走る。

「私はクラウドと戦えればそれでいい―お前たちがどうしようと私には関係ない。無論、皇帝に対しても同じように考えている」

そのまま、セフィロスはコートを翻して去っていこうとして―一度、振り返り視線にゴルベーザとジェクトの姿を捉えた。

「私は誰の敵でも誰の味方でもない。私は私だけの味方だ」

去っていくセフィロスの背中をぼんやりと視界に捉えていたジェクトとゴルベーザであったが…どちらからともなく視線を合わせるとその足を進め始める。

「その調子だと、どこへ行くのかはもうとっくに決めてるって感じだな」
「…だが考えていることはそなたも同じだろう、ジェクト」

ゴルベーザの声に微かに笑みが含まれていることに、ジェクトは気付いただろうか。
混沌の神に与しながら、秩序の神の元に肉親がいる―その共通点から互いに親近感を感じていた2人であったが、一度神の戦いが終わってもそれは変わっていなかった―
そのことに、些細なそんなことがゴルベーザの…皇帝との対峙で張り詰めていた心を解す。
言われたジェクトの側は見抜かれていたことが照れくさかったのか頭を掻きながら、ゴルベーザの隣に並んで歩き始める。

「お互い損な性分だな」
「だが、このまま皇帝を放っておくわけにも行くまい」

皇帝の一言―一瞬だけ浮かべた憎しみの表情を思い出して、ゴルベーザはそこで言葉を止める。
―かつての戦いの中、対峙することのあった秩序の神の戦士達の姿がその胸に去来する。
迷いながらも優しさを失わず真っ直ぐに進み続けた弟と、かつて支配下に置きその背に罪を負わせた竜騎士の姿が。
そして―倒れ伏した少女を守ると誓った幼いナイトや、偽りの輝きに捕らわれながらも真っ直ぐに進み続けた明るい若者―そして、小さな花に夢を託しがむしゃらに進んでいた青年の姿が。
中でも、そう―皇帝の憎しみが向かう先、それは―

「オレはそこまで難しいこたぁ考えてねぇけどよ…少なくともあの2人だけは守りてぇんだ」

ジェクトの小さな呟き―「あの2人」が誰のことなのか、敢えて聞かずともゴルベーザにははっきりと分かっていた。
その言葉に頷きを返し、2人はただひたすらに歩き続けた。
かつて「敵」であった、秩序の神の戦士達の姿を探して…


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