Chapter/05-4/4-






「…ごめん、ライト」
「謝るなら二度とそんなことは考えるな。一度離れるなと言ったんだからそれを撤回するようなことをお前がするとも思ってはいないがな」
「当たり前だろう。何があっても必ず君を守ってみせる…俺はそう決めたんだから」

そこでライトニングの表情が微かに緩み、漸く微笑みが浮かぶ…フリオニールのその言葉に嘘がないことを信じている、その微笑みははっきりとそうフリオニールに伝えていた。

「それで?他に私にまだ黙っていることはないか?」
「ああ。これが、今俺が知ってることと…俺が思ったことの全てだ」
「それならそれでいい。私もお前を守ると言ったものの、知らないことがあるんではそれが妨げになるかもしれないからな」

冗談めかして笑いながら、ライトニングはフリオニールから手を離して仲間達のいる方へ歩き始める。
その後をすぐに追い、ライトニングの隣に並んだフリオニールではあったが…全てとは言ったもののひとつ付け加えておかなければいけないのを思い出した。

「…ああ、そうそう。あの人は次に何かあればみんなに話すとは言っていたけど、それまでは君もこのことは他の仲間には黙っていて欲しい。君なら言いふらしたりしないって信じてるけど、念のために」
「確認されなくてもそんなことは分かっている。それに―私に聞くより、あいつが話したほうが多分皆も納得するだろう」
「出来ればあの人の口から仲間に伝えられるようなことがこれ以上起こらなければそれが一番いいんだろうけど、な」

フリオニールの呟きにライトニングが頷きを返し、そして彼らの目の前に仲間達の姿が見え始めた…だが、どこか様子がおかしい。
それを見て取ったふたりは頷きあうと、弾かれたように駆け出した。
仲間達の人だかり、そしてその中心から聞こえるのはジタンの声―屈みこんだジタンは「誰か」を助け起こしている。

「おい!しっかりしろクジャ!誰にやられたんだ!」

フリオニールとライトニングの位置からは丁度ジタンの背中の向こう側にいる「誰か」の姿は見えないが…その声からそれがどうやらクジャであるらしきことは察しがついた。
そして、弱々しい声ではあったがクジャがはっきりとジタンの問いかけに答える―アルティミシア。クジャは間違いなくそう言った。
仲間達に遮られ、ジタンとクジャのやり取りを直接見ることは出来ないまでもそちらの方に視線を送ったまま―先に言葉にしたのはライトニング。

「フリオニール、お前はさっきこれ以上何も起こらなければそれが一番いいと言ったが…」
「ああ…そう言うわけにはいかなかった、みたいだな」

恐らくこの騒ぎを聞きつけてもうすぐウォーリアオブライトがやってくるだろう。
その時彼が何を思い、どのように仲間に説明するのか…おぼろげに想像がつくだけに、ふたりの胸にはただ暗い感情が立ちこめていたのであった。


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