Chapter/05-1/4-






フリオニールとライトニングが仲間達のいるあたりまで戻ってきた時、ウォーリアオブライトは丁度仲間達から少し離れて何事か思案しているところだった。
その姿を確認すると、フリオニールは一旦ライトニングにその場で待っているように告げてウォーリアオブライトに駆け寄る。

「…あなたに話がある」
「どうした、フリオニール。それにその怪我は…」

最初は表情を変えぬまま。しかし、それでもフリオニールの目が真剣であることをきちんと見て取ったのかウォーリアオブライトは真っ直ぐにそちらに向き直った。
フリオニールはしっかりとウォーリアオブライトを視線で捕らえ、そしてはっきりと言葉を放つ。

「さっき、皇帝がイミテーションを伴ってこの近くに現れた」
「なんだと?」

ウォーリアオブライトの眉がぴくりと動く―イミテーションならばまだしも、皇帝本人が直々に現れると言うのは流石に彼も想像していなかったのだろう。
その眉間に刻まれた皺と鋭くなった視線、しかしそれに動じることなくフリオニールは話を続ける。

「イミテーションは何とか破壊したが皇帝には逃げられてしまった…すまない」
「…だが、それは君が気に病むことではない」

ウォーリアオブライトが小さく首を横に振ったのは、本当に自分に気にするなと告げるためであるのだろう。
リーダーとして見せるその気遣いに感謝しながら、フリオニールは言葉を続けた。そう…ここからが、本題。

「それで…俺1人でいる時なら良かったんだけど、その」
「他の仲間と一緒だったのか」
「…俺が皇帝と遭遇した現場にはライトも一緒にいた」

ふむ、と小さく呟いたウォーリアオブライトの眉間に刻まれる皺が深くなる。彼自身、どうすればいいのかと判断をつけかねている様子でもある―
だが、フリオニールは彼の判断を仰ぎに来たのではない。どうするべきかはフリオニールは既に決めている。そのことを伝えに来た、ただそれだけなのだ。

「俺はライトに全てを話そうと思ってる。それでライトを巻き込むことになるのは充分承知の上だ」
「しかし」
「…話すことによってライトに危険が迫ったとしたら俺が責任を持ってライトを守る―巻き込んだのは、俺だ」

はっきりとそう言い放ったフリオニールの言葉に、ウォーリアオブライトは相変わらず眉根を寄せたまま一度目を閉じる。
フリオニールの決意は分かったのだろう、だがしかしどう答えるべきなのか彼はそれを悩んでいる―ように、フリオニールには見えた。
ふたりの間に決して短くはない沈黙が走る―そして、ウォーリアオブライトが瞼と共に口を開いた。

「…君は皇帝に直接狙われている…そのことだけでも他の仲間よりも重いものを抱えているのに本当に他の仲間の、ライトニングのことまで守りきれるのか?」
「さっきも言ったようにライトを巻き込んだのは俺だ…逆に言うなら、ライトを守るべきは俺だと思っている」

詭弁だ。
言葉にしながらフリオニールはそんなことを考えていた。
確かにライトニングを巻き込んだのは自分だし、ライトニングを守るべきも自分だとは思っている。だが、ライトニングを守るべきと思っているのは彼女を巻き込んでしまったからではなく―恋人として、彼女を愛している者として当然の義務だとフリオニールは考えている。
ウォーリアオブライトは自分たちが特別な関係にあることを知らないから、フリオニールがここまで強硬にライトニングを守ると言い張っている理由が理解できないのだろうけれど。
だがどんな理由であれ、自分がライトニングを守る代わりにライトニングに今起こっている事を話す、フリオニールのその決意は揺らぐことがない。
…そして、また走る沈黙。何かを思案している様子だったウォーリアオブライトは再び目を閉じる。

「君の決意は良く分かった…いいだろう。それに私も…そろそろ他の仲間に話すべきではないかと考えているところだった」

目を開いたウォーリアオブライトの視線には、いつもの彼がそうであるように全く揺らぎがなかった。

「次に何かが起こった時には仲間達に全て伝えることにしよう。ライトニングには君から話しておいてくれるのだな」
「ああ―あなたも心労が絶えないだろうけど、ひとりで抱え込まないで欲しい。俺たちは仲間、だろう?」
「…気遣わせてしまってすまない、フリオニール」

笑顔と共に告げられたその言葉にフリオニールは大きく頷くと、そのまま踵を返し…待たせておいたライトニングの元へと取って返した。


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