Chapter/04-4/5-






「逃がすかっ!」

そしてフリオニールは右の腰に差した斧を手に取り、イミテーションに向かって投げる―しかしその動きは予想されていたかのようにかわされ、斧が手元に戻ってくるまでの間に隙が出来たフリオニールの身体はイミテーションが描いた紋章に捕らわれる。

「ぐあっ!」
「フリオニール…!」
「来るな、ライト…!」

そう呻くように呟くのがやっとのフリオニールに襲い掛かるのは、イミテーションが放った紅い火の玉。
マントや衣服にかすかな焼け焦げがつき、フリオニール自身の肌にも…元々日に焼けていて目立ちにくいとは言え火傷を負っているのが見て取れる。
勿論その程度で倒れるフリオニールではないとライトニングは分かっている。それでも案ずるなと言うほうが無理な話で…
紋章の魔法が切れたのか漸く動けるようになったフリオニールの目の前に、再び蒼い火の玉が迫る。しかし動じている場合ではない…!
再び宙へと身を舞わせたフリオニールがまたひとつ念じ、身につけられた武器たちはフリオニールの身体を取り巻くと前方へと向かってゆく。

「うおぉぉぉぉぉっ!」
「馬鹿、どこを狙って…!」

イミテーションとは見当はずれの方向に向かって放たれた武器にライトニングが焦れたように叫ぶが、フリオニールは動じるでもない。
確かにイミテーションとは違う方向に向かって武器を放った、が…放たれた武器は真っ直ぐに蒼い火の玉に向かい、そしてフリオニールを狙っていた火の玉は跳ね返されてイミテーションのほうへ。
フリオニールは地面にしっかりと足をつけると、その火の玉の影から再びイミテーションへ向かって斧を投げた―火の玉の動きに気を取られていたのか今度は斧をかわしきれず、手元に戻ってきた斧と共にその身体がフリオニールの方へと引き寄せられる。

「決まりだっ!」

手元に戻ってきた斧と、そしていつの間に抜いたのか腰に佩いていた剣を両手に持ってイミテーションに攻撃を加えるフリオニール。
最後に両手に持った武器でイミテーションを切りつけ、その身体は大きく吹き飛ばされ…岩壁に叩きつけられる。
反撃の好機を見て取ったのはフリオニールだけではなく。

「…さっさと片付けるぞ!」

来るなと言われた時からは状況が変わっているからかなんの躊躇いもなく飛び出したライトニングの右手には剣が握られている。その剣を大きく振るい、大きくイミテーションを斬りつける。そのまま地面に叩きつけたところで、フリオニールは再び上空へと武器を舞い上げる。
降り注ぐ武器が再びイミテーションを捕らえ、その身体は完全に崩れ動かなくなった―


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