Chapter/04-2/5-






だが、大したことではないのだ。話を聞きながら思ったことがある、といった程度。それに別に話を聞いていなかったわけではない。
今の話で―スコールの発言で、フリオニールはひとつ思い出していたのだ。今の話―スコールの発言に自分が重なる部分がある、と。
遠ざけようとしても近づいてくる。遠ざけたいのは拒絶の意思ではなく、守りたいからこそなのに―それならそれで、自分が守ると言い切ればそれでいいのだと今のフリオニールは既に結論を出している。だから。

「俺は…他の仲間を巻き込みそうになったらその時は俺たちが守ればいい…って、今そう考えてた」
「だが、事の真相を伏せたままで巻き込まれた者は納得するだろうか」

ウォーリアオブライトの問い返しには答えられない―恐らく彼自身は誰か特定の者を指してそう言ったわけではないだろうが、ウォーリアオブライトの言葉にフリオニールの胸の裡にははっきりとライトニングの姿が浮かぶ。
少なくともライトニングに限った話をするのであれば―ウォーリアオブライトの問いに対しての答えは、「否」。
それに他の仲間だって、詳しい話を聞かせろと迫ってこない者はいないだろう。そう考えれば、いつまでも黙っているわけには行かない―ウォーリアオブライトの表情に微かに浮かぶ苦悩を見て取って、誰もがそこから言葉を繋ぐことは出来ない。

「別に今すぐに結論を出す必要はない。暫く何も起こらなければそれでよし、何かが起こってしまったとしても…これだけいれば全く対処が出来ないということはあるまい」

ゴルベーザの言葉に、一同は一様に頷いていた。そう、これだけの人間がいれば何もできないと言うことはきっとありえないとそれぞれが分かっている。
なるべく他の仲間は巻き込みたくないと言う気持ちが現れるのは当然で、それを踏まえた上で自分たちがどうするべきか、どのように振る舞うべきか…今考えるべきはそれなのかもしれなかった。

「…君たちには重荷を背負わせることになってしまったな」

ゴルベーザの言葉に呼応するように、ウォーリアオブライトは仲間達の顔を一様に見渡す。
危険が降りかかっても自分がその危険を払うと宣言してはいるもののリーダーとして彼らを統べているウォーリアオブライトが気に病んでいるのはそこだったか、と思い当たったように一同はその顔を見返していた。
いつもの如く表情は薄いが、どこか苦悩を孕んだその表情に対して、申し訳ないという感情や感謝の念も少なからずあるのが今の彼らなのかもしれなかった。

「ま、気にしなくていいっスよ。どっちみち、オレ達は望んで巻き込まれたんだから」
「いっちょ前にカッコつけられるようになったか」

にぃ、といつもの如く明るく―彼のその名の、太陽のように笑ってみせるティーダの言葉にどこか面映そうな表情を浮かべながらジェクトがそんなことをぽつりと呟いた。
途端にティーダの表情が嫌そうなものに変わって、それを見ているセシルとフリオニールには微かに笑みが浮かぶ。兜で隠れてはいたが、カインの口元にも微かに笑みが浮かんでいたようだった。

「何にせよ、君たちには色々耐えてもらわなければならない部分も多いかとは思う…だが、私自身未だどうするのが正しいのか判断しかねているのだ。もう少し、考える時間が欲しい」

ウォーリアオブライトのその言葉に反論するものはない。ただただ全員が、一様に頷きあった。


「随分と長話だったんだな。一体何があったんだ」

テントから少し離れたところにはライトニングが立っていた―どうやら、フリオニールを待っていた、らしい。
テントには近づかないように、とウォーリアオブライトが厳重に人払いをしていたにも拘らずそこにいたライトニングに、フリオニールの表情が一瞬だけ変わる。
だが、それでもすぐに取り繕うように笑みを浮かべるとフリオニールはすぐにライトニングの側へ駆け寄った。

「ああ、まぁ色々と…それにしても何でこんなとこで待ってたんだ?」
「…離れるなと言ったのはお前だろう。だがあいつはテントに近づくなと言うから仕方なくここで待っていただけだ」

若干呆れたようにも聞こえるライトニングのその言葉に、フリオニールは申し訳なさそうに眉を下げる。
守ると、近くにいろと言ったのは確かに自分だが…まだこの話はライトニングには伏せておかなければならない、それを分かっているからこそライトニングの気遣いが逆に申し訳なく感じてしまって。
その表情を一瞬だけ見遣り、ライトニングはすぐに踵を返した。


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