Chapter/02-4/4-






「…俺、ライトともう一度話して来る」

目を開けたフリオニールはそう言ってしっかりとした足取りで歩き始めた。
…2,3歩歩いたところで、振り返ってセシルとティーダに笑顔を向ける。

「ありがとう…2人がいてくれてよかった」

その言葉には頷きだけを返し、セシルとティーダは歩いていくフリオニールの背中を真っ直ぐに見つめていた。


「…ライト」

仲間達からは離れた場所でひとりでなにやら考え事をしていたらしきライトニングの姿を見つけると、何の迷いもなくフリオニールはその背中に声をかける。
ライトニングは顔だけをフリオニールのほうへ向けるが言葉を放つことはない…まだ、怒っているのだろうか。そんなことを考えながらフリオニールはライトニングの隣に立った。
ティーダとセシルが背中を押してくれた―もう迷わない。自分が今ライトニングに言わなければならないことはもうとっくに決まっている―

「暫くの間…俺から離れないでほしい」
「どうした、急に」
「今はまだ話すことが出来ないことがある。理由は必ずいつか話すから、だから…暫くは出来る限り俺の近くにいてくれないか」

嘘をついても仕方ない。だが、話すなと言われている以上あっさりと話してしまうわけにもいかない。
視線を彷徨わせながら言葉を選んでいるフリオニールの様子を見ていたライトニングは…不意に小さく笑い、その頬に手を添える。

「お前がそんな寂しがり屋だったとは知らなかった」
「そうじゃない…守りたいんだ、君を。一番近くで」

頬に触れた手に手を添える。そのまま強く握り締めようと…したところで、その手はライトニングの側から振り払われた。
あまりにも突然のことに呆然とライトニングを見つめるフリオニール。ライトニングはその、フリオニールの目を鋭い眼差しで真っ直ぐに見つめ返している。

「そんな理由ならお断りだ」
「ライト…」

落ち込みかけたフリオニールの両の頬に、今度はライトニングの両手が添えられる。
両手で頬を包まれるような形になって、フリオニールは戸惑いを交えた表情のままそのライトニングを真っ直ぐに見つめ返した。

「守られるだけと言うのは性に合わないんだ。お前が私を守りたいと言うのなら私もお前を守る。…それでいいな?」
「…あ、ああ」

ああ、そうだった。とフリオニールはそこで不意に思い出した。
彼女は自分が守るまでもなく強い―それを改めて思い知らされた気がして。
頬に触れるライトニングの手のぬくもりに、まだわずかに残っていた迷いが溶けていく。
皇帝が本当に自分を狙ってくるかどうかすら怪しい状況ではあったが、それでも何かあっても…
ライトニングを守る。そして、ライトニングが自分を守ると言うのなら自分は共に戦える。
その決意を示すかのようにフリオニールはライトニングの背中に腕を回し、その身体を強く抱きしめていた―


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