Chapter/02-3/4-






「…もしも皇帝に狙われるのが俺だとしたら、俺と一緒にいることでライトを巻き込んでしまうんじゃないかって、今はどうしても、それが気になって」

つまり、先ほどティーダがジェクトから「バカなことを考えるな」と諌められたのと同じ事を今のフリオニールは考えている、と言うことだろう。
無論、ティーダにはフリオニールの気持ちはよく分かる―なんせ先ほど、全く同じ事を自分も考えたのだから。それでも、ティーダは―

「オレはそれでもユウナと一緒にいるって決めたっスよ。オレがユウナを守るんだって」

言い切ったティーダの瞳に迷いはない。
だが、その真っ直ぐなティーダの瞳を見ながらもフリオニールの迷いが晴れることはない。

「ユウナとライトじゃ状況が違うだろ。ユウナはジェクトと因縁がある以上彼女に危険が迫ることはありうる。でもライトはそうじゃない―俺と関わらなければ彼女が危険に巻き込まれることはないんだ」
「それはそうかもしれないけど…君はそれでいいのかい?」

フリオニールの呟きに対してそう問いかけるセシルの瞳は真っ直ぐで…本気でフリオニールを案じているようで。
ティーダも同じように、フリオニールの迷いが理解できるからこそフリオニールのことは本気で心配している。
フリオニールが言うように、ユウナとライトニングの状況が異なっていることも―言われて気づいたようではあったが、それも理解した上でフリオニールの肩に手を置く。

「なぁフリオニール、お前結局ライトをどうしたいんスか?」
「…危険な目に遭わせたくない…ライトはそんなの物ともしないくらい強いって分かってるけど俺は…ライトを守りたい」
「…それなら自分でライトを守ればいいんスよ。一番近くで」

ティーダの言葉を聞いて、セシルは頷きながらいつものように穏やかに微笑んでみせた。

「それに、もしも…ライトを守る為に離れてしまって、その間にライトに何かあったら…フリオニール、きっと後悔するよ」
「セシル…」
「なんて、ね。僕も元の世界にいたときに同じ決断を迫られたことがあったんだ…生きて帰れる保障のない戦いだったけどどうしても着いていきたいって言われて」

照れ笑いを浮かべたセシルの瞳―何かを懐かしむような、愛しむような…そんな優しい表情でフリオニールの肩に…ティーダが触れているのと反対の肩に手を置く。
両方の肩に置かれた手の重みが、フリオニールの迷いを少しずつ薄めていく。

「それ、奥さんにっスか?」
「うん。その時はまだ結婚していなかったけど」

照れたように笑いながらセシルはティーダの問いに答え、そしてまたフリオニールのほうを真っ直ぐに見つめる。

「彼女を危険に巻き込みたくはなかったけど…知らないところで危険な目に遭っていたとしたらきっと僕は僕自身を許せなかった」
「流石はセシル、言うことが違うっスねー」

ティーダが混ぜ返すようにそう言いながら、セシルとフリオニールの肩をばんばんと叩いて―いつものように、太陽のように明るい笑顔を2人に向けてみせた。

「ま、最終的にどうするか決めるのはフリオニールなんスけどね。でも男だったら…好きな人のことくらいビシッと守ってみせろって。ネギ坊主みたいな子供だってそのくらいのこと分かってるぞ?」
「うん。どうするかは自分で決めればいいけど…僕達の言ったこと、頭の片隅にでも置いておいてくれると嬉しいな」

セシルの笑顔も優しくフリオニールに向けられる。
2人分の笑顔に、フリオニールは目を閉じる―決断するのは、今。自分でそれは分かっているから、だから。


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