Chapter/18-4/4-






「大丈夫だよ、ティナはひとりじゃないんだから。な、ネギ坊主」
「…当たり前でしょ、今更確かめられなくたって」

ふい、とそっぽを向いたオニオンナイトが拗ねているように見えたのは…ヴァンに先に自分が言うべきことを言われてしまったからだろうか。
なんだか不意に可笑しくなって、ケフカが現れる前と同様の和やかな笑みがその場を支配する。何故だろう、その笑い声が何処か温かいもののように感じられて一行は奇妙な安心感を覚えていた。
やがて笑いが一通り収まったところで、ひとつ咳払いをしてからユウナが口を開いた。

「ケフカが何をしたかったのかはまだ分からないけれど、とりあえず今は進むしかないでしょうね」
「そうだな。おれも朝っぱらから色々時間取られたし」
「バッツは最終的にフリオニールに押し付けただけだろ」

ユウナの言葉に続いてバッツとジタンがそんな風に言い合い、その言葉に笑いながらも一行は再び足を進め始めた。

そんな中。ティナが微かに俯いていることにただひとり―オニオンナイトだけが気付いていた。
言葉にすることはないままティナをじっと見つめていたオニオンナイトだが、その視線に気付いたのかティナは自分の視線をオニオンナイトの方に向ける。
その表情には先ほどまでの凛としたものとはかけ離れた、何処か不安げな色が滲んでいて…オニオンナイトはティナから目を離すことが出来なくなっていた。
それでも言葉を向けることなく、ティナが自分の口で語るのをただ待っているオニオンナイト―それに気付いたのだろう、ティナはゆっくりと口を開いた。その声は先ほどとは違う、何処かか弱いとも感じられるもので。

「ああは言ったけど、本当はね…怖いの。また力に飲まれてしまうのが」

かつてティナがケフカの力によって暴走し、己の力に飲まれてしまったことを知っているだけにオニオンナイトは答えるべき言葉をすぐに見つけることが出来ず口を閉ざした。
だが、ティナの不安そうな表情を見上げているうちに…自然と、言葉はその唇から滑り出していた。

「大丈夫だよ。…守るって、言ったよね」

放たれた言葉に一瞬だけ目を見開いたティナは、すぐにその表情に彼女らしい穏やかな微笑みを取り戻していた。
それを確かめると、オニオンナイトはふいと視線を逸らす。それは先ほどヴァンに対してそうしたのとは全く同じ行動でありながら、その意味は全く違うもの…
本当の意味、「照れ隠し」にティナは気付いているだろうか。そんなことを考えながらも、オニオンナイトはなんだかティナのほうを見ることが出来なくてあらぬ方向を向いたままただ歩き続けていた。


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