Chapter/18-3/4-






誰も答えることなど出来なくなっていた、その理由は―そこにある、ケフカの本質に少なからず恐怖していたからかもしれない―その空気を打ち破ったのは、微かではあったもののはっきりとした、ティナのたったひとことの決意。

「…破壊なんてさせない」

その言葉と共に、ケフカの笑い声が止まる。
そしてそれと共に、一行の視線はティナの元へ。
どこか儚げにすら見えることのあるティナとはまるで別人のように。真っ直ぐに立ったティナは姿を見せないケフカをそれでも見据えるかのように天を仰ぎ、はっきりとした口調で言葉を紡いでいく。

「あなたは私が止めてみせる。絶対にこの世界を破壊なんてさせない!」

言い放たれたその言葉は、声しかしないケフカを射抜くようにはっきりと放たれた。―戦士達は皆、そのティナをただ驚いたように見ていることしかできない。
彼女はこんなに強かっただろうか。そんな驚きをもった視線がティナを捉えている。そして事実、その時のティナは今までに彼らが見たどんな時よりも強固な意思を持っているように彼らの目には映っていた。
だがそんなティナの強気な言葉さえも嘲笑うかのように、ケフカの声は彼らの周りで鳴り響き続ける。

「あーらま、元人形風情が偉そうに」
「ティナは人形なんかじゃない!」

姿を現さないケフカに苛立ったのだろうか、飛び出そうとしたオニオンナイトをスコールが手で制した。
言葉はないまでも、彼にも思うところはあるのだろう―スコールもまた、宿敵たるアルティミシアが皇帝と行動を共にしているのだから。
そんなやり取りに気付いているのかいないのか―ティナは胸に手を当て、そして語りかけるように言葉を紡ぐ。語りかけたのはケフカに対してだったのか、それとも…自分自身に対してか。

「私は…守りたいの。みんなを…そして、コスモスが残したこの世界を。だから…負けない。あなたたちには負けない」
「ま、無駄だと思うけど精々頑張ってみたら?悪いけどボクちんはそう簡単にやられてやる気はないから」

そして再び響き渡る高笑いと共に、何処からか聞こえてきていたケフカの笑い声は静かにフェイドアウトしていった。
もはやそこには何の気配も感じられない。ケフカはこの近くから立ち去ったのだろう―そう考え、一行はそれぞれに安堵の息を吐いた。

「ティナ」
「…私は大丈夫。絶対に私がケフカを倒すから…皆は心配しないで」

心配そうにティナの肩に置かれたウォーリアオブライトの手は、はっきりとしたティナのその言葉を聞くと同時にそっと外されていた。
ティナだって、かつてはカオスと戦いそして打ち倒した秩序の神の戦士なのだ。未だ歳若い少女であるとは言え、彼女を必要以上に庇護しようとしたりするのは逆に彼女に対して礼を欠くことなのは誰しもが分かっている。
だから。
ただ、決意を秘めたティナのその言葉に戦士達はただ頷くだけだった。そしてティナもまた、しっかりと頷きを返すだけ。


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