Chapter/17-4/4-






「お前の気持ちは分からないわけじゃない。だけど、俺達は今別の―この世界を守るための戦いの中にいる」
「バッツではなくおれ様を説得しようと言うことか?だが―」

だが、の続きを言おうとしているのかたっぷりと間を取り始めたギルガメッシュを見て、フリオニールは次の言葉を頭の中でひねり出し始める。
きっと聞き入れはしないだろうなと内心思ってはいるが、それでも今こんなところで無駄な時間を過ごしているわけには行かないのだ―こうしている間にも、皇帝はイミテーションを従えてこの世界の支配のために暗躍しているのかもしれないのだから。

「バッツにだって今は別に戦わなきゃいけない相手がいるんだ―他の戦いの事を考えているバッツと戦ってもきっと楽しくない、と思う」

それは詭弁でしかない。フリオニールにだってそんなことは分かっている。
だが、それでも今ここで無駄な時間を費やすわけには行かない―それならば、詭弁だろうがなんだろうがどうにかギルガメッシュを説得するしかない。
無理やり搾り出したその言葉と共に、フリオニールはギルガメッシュのほうを真っ直ぐに見据えた。
ぶつかり合う視線、続かない言葉―先に口を開いたのは、ギルガメッシュだった。

「なるほどな。確かに、上の空のバッツと戦って勝利しても意味がない、か」

大きく頷くとギルガメッシュは剣を納め、再びバッツに視線を送る。

「よし分かった、この勝負は一度預けておこう。だがその、別の戦いとやらが終わったらそのときこそおれとの勝負の時だと覚えておけ」
「…何で今のフリオニールの苦し紛れの言い訳で納得するんだ…?」

ギルガメッシュには聞こえないようにライトニングが小声でジタンに尋ねるが尋ねられたジタンのほうも苦笑いで首を捻ることしか出来ず。
そのライトニングの声よりも更に小さな声でクジャが馬鹿馬鹿しい、と呟いたのも無理のないことだろう。

「それと、そこのいっぱい持ってるお前」
「何だ?」
「お前、気に入ったぞ。バッツとの勝負がついたらお前とも是非戦ってみたい」

言われたフリオニールの側は…若干迷惑そうにも見える苦笑いを浮かべながらありがとう、と短く答えるのが精一杯であった。
その返答に満足したのかギルガメッシュは大きく頷くと再びバッツを指差す。

「とにかく!お前がその、この世界を守るための戦いとやらを終わらせたらそのときこそおれとの勝負の時だ!楽しみにしておけ!」

そのまま高笑いを残し、ギルガメッシュは大きく飛び上がるとその場をすぐに去ってしまった。
ギルガメッシュの去っていった上空を見上げながら呆れたような表情を浮かべるもの、苦笑いを浮かべるもの―数々いたが、最初に言葉を発したのはやはり、バッツだった。

「いやぁ、悪いなフリオニール。変な事頼んじゃって」
「…ほんとにな」

無理やりフリオニールに話を押し付けたと言うのに悪びれる様子のないバッツに、フリオニールは再び溜め息をついたのであった。

「今の闖入者のことはひとまずは忘れよう。朝食を取ったらいよいよ混沌の大陸に向けて進軍を開始する」

場の空気を無理やり切り替えるように、ウォーリアオブライトがそう言い放つ。
仲間達はその声に、たった今までそこにいたギルガメッシュの存在を忘れたかのように大きく頷いていた。


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