EXTRA:切願の先に-3/3-
「あ!…オレ今思いついたんスけど」
フリオニールが一生懸命、から回ることしか知らない記憶の糸車を回している事など知らないかのようにティーダがひとつ声をあげる。
「ん?」
「オレの記憶の中の子とフリオニールの記憶の中のあいつがこんな風にオレ達の話してたりしたら面白くないっスか」
「…は?」
話が一気に別の方向へ…いや、流れ的には同じ話になるのだろうが突然そんな突拍子もないことをティーダが言い出したものだからフリオニールはどう答えていいか分からずその顔を眺める。
ティーダはそのフリオニールの表情を見て、付け加えるように話を続けた。
「ほら女同士だし、案外仲よかったりとかするかも」
フリオニールが戸惑っている内容から考えれば的外れな言葉を補足されて、フリオニールはやはりどう答えていいのか今ひとつよくわからないままそのティーダの顔をしげしげと眺めている。
一体何をどうすればそんなことを思いつくのか一度ティーダの頭の中を覗いてみたいと少し思ったり、思わなかったり。
勿論フリオニールがそんなことを考えているとは露知らぬティーダの話はまだまだ続く。
「で、ほら。オレにとって大切だった人と、フリオニールにとって大切だったかもしれない奴がさ。オレとフリオニールのことを仲良く話してたりとか」
「流石にそんな良く出来た話があるわけないだろ」
いくらなんでもご都合が過ぎるティーダの言葉に、今まで難しく考えていた為険しくなっていたフリオニールの表情にも自然と笑みが浮かぶ。
ティーダのほうはフリオニールが難しく考えているのを表情で悟っていたのか、笑顔が浮かんだことに対して少しだけ安堵したような表情をみせる。
それから、フリオニールの発言に対して…笑ったまま、いつものように頭を掻いてみせた。
「そうかなぁ。だったらちょっと素敵かなって思ったんスけどねぇ」
「本当にそうなら、な」
それだけ言ってフリオニールはふと、空を見上げる。
胸の中にふと過ぎるのは、あのイミテーションを見たときに感じた懐かしさ。
―…今はまだ、誰なのか分からないけど…
今は何も思い出せない。
それに対して申し訳ないと思う気持ちもないわけではない。だが。
―この懐かしさの意味、忘れてちゃいけない気がするんだ。だから…俺は必ず、思い出してみせるから…