消滅-3/3-






倒せど倒せど湧き出てくるイミテーション。
もう何体葬ったかすら分からない…それでも今までに葬った数よりも数倍、数十倍のイミテーションが彼らに襲い来る。
武器を魔法を使い分けながら、ライトニングはがむしゃらに戦っていた。
ふと見ればティファが拳を、蹴りを叩き込む。
ヴァンが武器を使い分けながら敵を蹴散らす。
ユウナの呼び出した召喚獣たちがイミテーションをなぎ払う。
ラグナの銃から放たれた弾が命なき結晶を狙う。
カインの槍が敵意ごと相手を貫き通す。
傷ついた身体に鞭打ちそれでも戦い続ける6人…だが、しかし。
それでも無限に湧き出し続けるイミテーション…
限界が近いと、心のどこかで思いながらそれでも今のライトニングは戦うことしか出来なかった。

―初めに倒れたのは誰だっただろう。
倒れたその身体を起こす為に手を貸そうと伸ばしても、それは届かなくて―その身が静かに消え始めたのを悟っても、もうそれに対して何かできるほどの力はライトニングにも残されていない。
そうしているうちにまた誰かが倒れる音がその耳に届く…
考えている合間に襲い来るイミテーションの手によって、手にした剣が弾き飛ばされる。
どうにか立ち上がろうとあがいてみたものの…今のライトニングはそれすら出来ないほどに消耗しきっていて。
傷だらけの身体を抱えながらそれでも膝をつき、しっかりと大地を踏みしめたつもりでいたのに、何故今自分の身体は自由に動かないのだろうか―?

そして再び聞こえる、誰かが倒れる音―
その音を発したのが自分だと言うことすら、今のライトニングにはもう気付けなくて―
目を開けていることすら出来ない。ただそれだけの力すらもう―

閉ざした瞼の裏側に、仲間たちの姿が浮かんでは消える。

ウォーリアオブライトの無愛想な表情が。
オニオンナイトの生意気ながらも勝気な瞳が。
セシルの穏やかな中に強さを秘めた笑顔が。
バッツのどこまでも楽しそうな明るい笑い声が。
スコールの冷静に仲間たちを見ている眼差しが。
ジタンのどこか格好をつけたように見える仕草が。

ひとつ浮かんではまた消えてゆく―彼らはこの望みを繋いでくれるだろうか?
そして、消えてゆく仲間たちの姿の向こうに…ただ一人はっきりと色づくひとつの姿。

風に流れるマントと銀色の髪、振り返った瞳は強く…そして、優しくライトニングを見守っているようで。
傷つけたはずなのに何故、思い出されるのはあの優しい笑顔なのだろう。
憎まれても仕方ないのに何故、まだ自分の中には愛されていた記憶が残っているのだろう―

「…フリオニール……」

カインが言っていた…最後に彼が呟いたのは自分に対しての詫びの言葉とそして…愛の言葉だったと。

 謝らなくてはならないのは、私だ。
 仲間たちの為に私はお前に嘘をついた。それに後悔はないが…お前を傷つけてしまったのだとしたら…
 ただ、信じて欲しい…お前を愛していた気持ちに嘘なんて全くないことを。
 でも、だからこそ。

「……私を……わすれて………」

 私に、あの約束に囚われずに進んで欲しい…そして、この戦いを終わらせて幸せになって欲しい…
 お前の想いを踏みにじって、お前への想いを断ち切って…お前を忘れようとした。
 お前の想いがまだ残されているにも関わらず。
 そんな私にお前をこれ以上縛る権利はないから…
 でも、それでも私は…お前のことを…

―………あいしてる…………

そして混濁していく意識
 ―最後まで そこに残った銀色の髪も 愛しい えがおも なにもかも ゆっくりと やみ に きえ て…


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