消滅-1/3-






ようやく見つけた次元の扉―そこからは今もなおイミテーションがあふれ出してきている。
そして、目の前にいるのは混沌の神に与している者たち―

「―とうとうこの場所へ来たか」
「…そこをどけ」

目の前に立つガーランドを一瞥し、ライトニングは剣を構える。
そして、他の仲間たちもまた…どうやらそれぞれに因縁のあるらしき相手の前に、何の迷いもなく立つ。
ユウナの近くから聞こえた声に聞き覚えがある気がするのは何故だろう―しかし今は、そんなことを気にしている場合ではない。

「先へ進もうと何ひとつ変わりはせんぞ?貴様たちに待ち受けるのはその身の消滅だ」
「それがどうした…なんと言われようと、私たちは―前に進むだけだ」

もう、ライトニングに迷いはない。
もう引き返せないのだ…今の自分に成すべきことは、たった一つ。

「完全なる消滅を与えてやろう!」
「復活など…はなから望んではいない!」

言い切った彼女の瞳は強く、真っ直ぐで…言い放った言葉に嘘など全くないことをそれが示していた。
鎧の向こう側、ガーランドが笑ったような気がして…それがどこか不愉快で、ライトニングはしっかりと剣を握り締めなおす。
イミテーションたちを倒し次元の扉を破壊するには―打ち倒さなければならない。目の前にいる、ガーランドを。

大きく振りかぶられた巨剣をかわし、手にした剣で切りかかる。
鎧を纏っているだけに手応えは薄いがそれでも確実に、ガーランドの余力を殺ぐ。
しかし時折その攻撃がライトニングを襲い、ライトニングの素肌には切創が刻まれてゆく。
それでもライトニングは諦めることはない…
道を作ると決めたから。
希望を繋ぐと決めたから。
仲間達の為に―そして、生まれて初めて誰よりも愛した人の為にも、ここで志半ばで倒れるわけにはいかない―!!

「貫け、閃光!」

ガーランドに向かって放つ雷。それを避け切れなかったのか、ガーランドの身体が宙に浮く。

「…お前の負けだ!」

ライトニングの手の中の剣が形を変える―そしてその身に、彼女自身の中で眠っていた大いなる力が宿る。
受けた傷すらも少しずつ癒されていく…そして躊躇いも何もなく、その手の剣が、銃がガーランドを傷つける。
振るわれるガーランドの剣で時に傷つき、それでもときにそれを受け止めかわしながらライトニングは戦い続ける。
まだ倒れるわけにはいかない…その想いだけがライトニングを突き動かす。
そして。

「その身に刻め!」

ライトニングが大きく振りかざした剣から放たれる真空の刃がガーランドを追う。
そして、その身体に真空が触れた刹那…ライトニングはこの隙を逃してはならないと直感的に理解する―

「…せめて祈るんだな」

銃弾を放ち、そして的確にガーランドの身体に、剣を、銃弾を、魔法を叩き込んでゆく。
その刃を大きく振りかざし、そしてその身を大きく躍らせて―

「運命を断つ!」

両の手にしっかりと握り締めた刃で、鎧の上からガーランドの身をしっかりと捕らえ、そして…
背後で聞こえる断末魔。
肩で呼吸をしながら、ライトニングはそちらを振り返った。
…ガーランドはよろめきながらも膝を、剣をついて立ち上がる。
ライトニングは自分の戦いだけに集中していたが、仲間たちもそれぞれに勝利を収めたようであった。

「…まだ悪あがきをするか」
「とどめがほしければいくらでもくれてやる!」

ガーランドの言葉に、ライトニングは再び剣に手をかける…しかし、それに対してガーランドは小さく笑い声を立てる。
丁度、そこにいる…ライトニングたちをあざ笑うかのように。

「その言葉はイミテーション相手に言うのだな」

そしてその身体が…ガーランドのみならず目の前のカオスの戦士たちが闇に守られるかのように包まれ、その姿を消す…


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