覚悟-1/3-
歩き出したライトニングたちはやがて、カインとティファと合流する。
カインはともかくとして、ティファも全てを知っているようだった。
彼女の目にも自分たちと…ユウナやヴァンやラグナ、そして自分自身が抱いているのと同じ決意の光が宿っている。
話したのは―カインで間違いないだろう。
正直に言えば、巻き込む仲間たちは一人でも少ない方がいいとライトニングは思っていた。
だが…決意したティファを止めることはきっとライトニングには出来ない。
そうするにはライトニングはティファのことを、仲間たちのことを知りすぎていた。
きっと、自分たちの考えていることを知れば誰もが同じ事を思うだろう。
カインの手によってどこかで守られている仲間たちもきっと、その前に真実を知ってしまえば…安全に守られるだけなんて選択をしたものはいなかっただろう。
―だから、言えなかったのだから。
一瞬だけ瞼の裏に甦ったフリオニールの姿を頭から追い出すようにライトニングは小さく頭を振った。
今はもう、フリオニールは関係ない。彼は…次の戦いへと向かえば、それでいい。
ともあれ、6人となった一行はひたすらにイミテーションを破壊し続け、その先を目指す。
彼らが向かうのは次元の扉。
生み出されるイミテーションを減らし、これ以上のイミテーションの発生を止める為に。
今どこかで守られている仲間たちを生かすためにそれはどうしても必要なこと。
時折ラグナがまた道を間違えてヴァンに呆れられていたり、「何か」を思い出したようなユウナに声をかけると気にするなと言ってみたり。
辛い道のり、厳しい戦いであるはずなのにただそれだけのことでライトニングの心は支えられているような気がした。
改めて自分にとって、仲間がどれほど大きな存在であったのかを思い知らされる―そんな、旅路。
そしてその道中―他の仲間達から離れて考え事をしていたライトニングを、カインが呼び止めた。
「今さら許してくれとは言わんが…悪かったな」
その謝罪の言葉が、彼が「仲間を倒す」と言う選択をしていた中で感じていた葛藤を何よりも表している。
カインの気持ちは分からないではなかったが、しかしそれでもライトニングはやはり…何も言わずひとりで罪を背負おうとしたカインを許すことはできそうになくて。
まるで仲間たちを想っているのは自分だけのような行動…何故それをひとりで背負い込もうとしたのか、仲間を守りたいという自分やラグナ、ヴァンやユウナやティファのことに何故気付かなかったのか…
脳裡に過ぎるのは、カインが「裏切ってきた」他の仲間たちの顔。
次の戦いへと希望を繋ぐ戦士たちの姿がライトニングの中で去来する。
「他の奴らは本当に無事なのか?」
「ああ、心配はいらん」
その言葉に小さく安堵するライトニング。
自分たちの選択はきっと、無事だと言う仲間達を生かすことに繋がる。
その事実があればきっと、この先どんな戦いが待ち受けていようとも折れることはない。自分を支えてくれた仲間たちのため―なのだから。