相愛-side/L- -5/5-
「何で何も、私が意味もなくこんなことをすると思うか?」
「いや、そうは思ってない。思ってないから、だからこそ…なんで…」
困惑に彩られた瞳を、雷光が真っ直ぐに射抜く。
雷光を受け止め切れなかった瞳はそっと逸らされ―逸らした頬を、ライトニングは両手で挟んで真っ直ぐに自分を見つめさせる。
「それなら答えはひとつだ。流石にそのくらいはわかるだろう?」
「…俺をからかってる…って言うんだったら流石に怒るぞ」
「お前、前から思っていたが基本的に素直なのにたまに卑屈なことを言うな」
勿論、知っていた。
そう思いながらライトニングはフリオニールの肩に両腕を回す。
そしてそのまま耳元に口を近づける。
知っている。フリオニールはとてつもなく純粋で、それでもどこか自分に自信がなさそうに見える部分もある。
でもそんなことはとっくに…
―知っていたさ。だって、私は…そう言うところも―
「愛してる…お前を愛してるんだ、フリオニール」
いざ口にしてみたら想像していた以上に重かった言葉。
でも自分の胸だけに留めておくことは今のライトニングには出来なくて―これが最後、その事実が免罪符となって言葉がライトニングの唇から零れ落ちる。
拒絶が怖くなかったと言えば嘘になる。だが、今のライトニングはもう止まらなかった。
たとえ彼の中に自分の存在がなかったとしても―だとしても、離れてしまうのなら知っておいて欲しかった。
どうかしているとしか思えないほど、今の自分がフリオニールを愛しているということを―
ライトニングには長い長い沈黙に感じられた―でもきっと本当は一瞬だけの静寂の後。
フリオニールの腕が再びライトニングの背中に回る。
「………信じるぞ、そう言うこと言うと。俺が単純なのはよく知ってるだろ」
「寧ろここまで言って信じてもらえないと困る」
「ほんとはまだちょっと信じられないけどな」
すぅっ、と息を吸う音がして。
ライトニングを抱きしめる腕の力が強くなる。
「俺もライトのことがずっと…好きだった。愛してる、ライト」
…だったら、どうして。
ライトニングはフリオニールの肩に顔をうずめながら唇を噛む。
ずっと愛していたのは私も一緒なのに。
どうして、最後の今になるまで想いは通じ合わなかった…?
―神を呪う言葉を吐き出しそうになる、その言葉はぐっと押さえつけてライトニングは顔を上げる。
そして少し身体を離して、フリオニールの瞳を再び真っ直ぐ見据えた。
「…ならばもう一度言う。私を抱いてくれ、フリオニール」
視線がぶつかり合い、絡み合う。
再び聞こえた、ゴクッと喉が鳴る音。そして。
「………とりあえず俺、何すればいい?」
…まあ、この男にその手の経験があるとは思っていなかったがそんなに直接的に聞かれるとは流石に思っていなかった。
なんだか可笑しくなって、ライトニングの口元には自然と笑みが浮かぶ。
「そのくらい自分で考えろ…私を愛しているというのなら、な」
「それ、結構な無茶振りだぞ」
その言葉と共に優しく合わされた視線が微笑みを交わす。
そして…先ほどライトニングが奪った時とは比べ物にならないくらい、優しく唇が重ねられた。