相愛-side/L- -1/5-






この戦いの行く末を、求められている結末を知ってしまったライトニングはラグナやヴァン、ユウナを伴って聖域を後にした。
これから自分たちが目指すのは次元の扉―イミテーションが生まれ出る場所。

ウォーリアオブライトが、そしてカインが選んだ方法とは違う形で次の戦いへの望みを繋ぐ。
次元の扉を壊し、そしてイミテーションの数を少しでも減らす。
そうすることによって次の戦いこそ、コスモスとその戦士たちに勝利をもたらす―
その道を選んだライトニング達は、ただひたすらにその場所を目指していた。

「…だから、ラグナの道案内はアテになんないんだって」
「しかし、あの綺麗なお姉さんから場所を教えられたのは俺だけだぞ?」

ヴァンとラグナのいつものやりとりを、ユウナがまあまあと諌め…そのやりとりもいつまで続けることが出来るか、そんなことに思いを馳せてライトニングは目を閉じた。

自分たちの決断が間違っているとは思わない。
自分は自分に出来るやり方で次に望みを繋げてみせる。
そう心に決めていた―はずだったのに。
閉じた瞼の裏に浮かぶ、たったひとつの「心残り」…

「嘘、だろう…?」

目を開けたライトニングは自分が見たものが信じられずに思わず小さくそう漏らし、視界の端に映った人影を一度だけ見遣る。
ラグナもヴァンもユウナも、「彼」の姿には気付いていない。
そして、「彼」もまたこちらに気付いている様子はなく、早足で歩いていく。
見えなくなってしまう。去っていってしまう。
今は次元の扉へと急がなければならない、だが。

―どうせこれが最後になるのなら。

「…すまない」

ライトニングの言葉に、仲間達はいっせいに彼女の方を見る。

「…ひとつやり残したことがあるのを忘れていた。片付けてくるから先に向かっていてくれ。私もすぐに後を追うから」

その言葉に、3人は互いの顔を見合わせる。
その表情は不思議そうなものを見るようにすら見える。自分から自分たちの行く先を提案したというのに、今になって言い出した本人のライトニングがやり残したことがあるなんてことを言い出すとは思っていなかったのだろう。
勿論ライトニングだって、本当はそんなことを言うつもりはなかった。だが―気付かなければそれで済ませることもできたが、気付いてしまった今のライトニングははっきりと悟っていた。
この気持ちのままで、自分は戦えない。

「ひとりで大丈夫か?どうせなら、オレも一緒に」
「いーや、ライトがそんなことを言い出すって事はよっぽど大事な用なんだろ?行って来い」

ヴァンの言葉を遮るようにラグナがそう言ってウィンクする。ヴァンはどこか不服げでもあったが、しかしやはりライトニングがそんなことを言い出すのが珍しいというのは分かっているらしく最終的にはひとつだけ頷く。
それに呼応したようにユウナも同様に頷いてみせた。

「わかりました…でも、気をつけてくださいね。もうすぐ日も暮れますし」
「あー、確かにもうそろそろ薄暗くなってきたな。じゃ、俺たちももうちょっと行ったとこで野営してるから。明日の朝には帰って来るんだぞ」
「ああ。勝手を言ってすまない」

そう言いのこしてライトニングは走り出した。
この戦いが終わる時、自分はもう彼の側にはいられないかもしれない。
この戦いの果て、自分に待っているものは復活さえ望めない本当の消滅かもしれない。
だから…本当に、これが…「最後」だと分かっていたから。ほんの少しの躊躇いすら、今のライトニングには存在しなかった。

「ライト!もう1回言うぞ…後悔はすんなよ!」

背後で聞こえたラグナの声。ともすれば気付いていたのかもしれない。気付いた上で全てを悟って自分を送り出してくれたのかもしれない…
ありがとう、と言う言葉は胸の中にだけしまってライトニングはひた走る。


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