相愛-side/F- -5/5-






「………信じるぞ、そう言うこと言うと。俺が単純なのはよく知ってるだろ」
「寧ろここまで言って信じてもらえないと困る」

これがただの、自分にとって都合がいいだけの夢でも構わない。

「ほんとはまだちょっと信じられないけどな」

例え夢だとしても今はもう、溢れそうで止められないこの想いを隠す必要なんてない。
彼女がそう望んでいるのなら―そして、自分自身がそれを強く望んでいるから。
一度落ち着く為に小さく息を吸い、そして―フリオニールは今まで隠し通してきた想いの全てをぶつけるように力いっぱいライトニングを抱きしめる。

「俺もライトのことがずっと…好きだった。愛してる、ライト」

その言葉を聞いたライトニングは自分の肩に顔をうずめる。
反射的にその髪に手を触れる―どうしていいか、解らなくて。
秘めた想いが通じ合った瞬間、それなのにどうしてライトニングはこんなに―脆く儚く見えるのだろう?
ようやく顔を上げたライトニングを見てフリオニールはそんなことを考えていた。
脆くて、壊れてしまいそうで。
彼女はそんな弱い存在ではなかったはずなのに。

しかしそう見えたのは一瞬だけで。
自分を真っ直ぐに見据える瞳、そしてその唇がいつものように力強く言葉をつむぐ。

「…ならばもう一度言う。私を抱いてくれ、フリオニール」

絡み合う視線…また無意識にフリオニールは唾を飲む。
勿論拒絶など出来るわけはない。寧ろずっと自分が望んでいたこと。しかし―

「………とりあえず俺、何すればいい?」

悲しいかな、フリオニールにはその手の経験が一切ない、わけで。
つい今しがた恋人になった目の前のライトニングにそれを問うのは流石に間が抜けているとしか言いようがないが、本当に何をすればいいのかが解らないのだ。
ジタンやラグナ、或いはジェクトあたりなら何か知っているのかもしれないがここにその3人はいないし、仮にいたとしてもこんなことを聞けるはずがない。
だからと言ってライトニングに聞くのも間抜けな話で―と、堂々巡りに陥りかけた思考を、ライトニングが浮かべた笑顔が救い出す。

「そのくらい自分で考えろ…私を愛しているというのなら、な」
「それ、結構な無茶振りだぞ」

なんだか可笑しくなって小さく笑みを浮かべる―ライトニングがそれに微笑を返す。
その笑顔がたまらなく愛しくて、フリオニールは自然と顔を近づけ、優しくライトニングに口付けていた。


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