相愛-side/F- -4/5-






それと同時にフリオニールは自分の身体に起こっている「変化」にも気がついていた。
鎧の下に隠れているからすぐに気付かれることはないとは言え、流石にこれをライトニングに悟られるのは男としては情けないことこの上ない。
そんな無駄なことを考えながら腰を引く―それに気付いたのかライトニングは右手の力を緩めて唇を離す。
その時に見たライトニングの表情は今までにフリオニールが見たことがないもので…一言で言えば艶っぽいその表情に、聞きたいことは沢山あったはずなのに言葉が出てこない。

「ライト…何で…」

ようやく搾り出したその言葉にライトニングはひとつ息を吐いた。
少し呆れているようにも見えて、フリオニールは自分の言葉をほんの少しだけ後悔する―が、そんなフリオニールの気持ちを知ってずかライトニングは言葉を続ける。

「何で何も、私が意味もなくこんなことをすると思うか?」
「いや、そうは思ってない。思ってないから、だからこそ…なんで…」

自分の瞳を真っ直ぐ射抜く雷光―受け止めきれず、無意識に目を逸らした。
しかし、目の前の雷光は逃げることを許さない。両頬を挟まれ、再び真っ直ぐに自分の方を向かせる。

「それなら答えはひとつだ。流石にそのくらいはわかるだろう?」
「…俺をからかってる…って言うんだったら流石に怒るぞ」

ようやく言えたその言葉にライトニングが首を横に振った。
どこか呆れているような、それでいて…何故かとても優しい表情で。

「お前、前から思っていたが基本的に素直なのにたまに卑屈なことを言うな」

そのまま今度はフリオニールに身体を預けるようにもたれ、その肩に両腕を回した。
少しだけ背伸びをして、その唇が耳元に近づく。
くすぐったいその感触、間近で感じるライトニングの吐息―そして、囁かれた言葉。

「愛してる…お前を愛してるんだ、フリオニール」

―もう、止められなかった。
一番簡単なその答えを否定していたからこそ浮かんでいた戸惑いが全て消え去り、フリオニールを繋いでいた理性の鎖が音を立てて瓦解していく。
もう一度だけ、確かめてみて…間違いがなければ、その時は。
そう考えたのと、もう一度ライトニングを抱きしめたのはほぼ同時だった…あまりにも自分に素直すぎて苦笑いすら漏れてしまう。
抱きしめたライトニングの身体はかすかに震えているようにすら感じる。
何故だろう、もしもこれで何かの間違いだったとしても…今、ライトニングを離してはいけないとフリオニールは強く思っていた。


←Prev  Next→




MENU / TEXT MENU / TOP
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -