予感-1/3-






一体どのくらい戦いは続いただろうか。

ライトニングが胸に秘めていた決意。この戦いが終わり元の世界に還るその時に、自分は調和の神の戦士からひとりの女に戻る、と。
しかし戦いは終わる気配を見せず、日々激しくなっていくのみ。
カオスの戦士たちと直接剣を交えたことも、両手の指の数では足りないほどになっていた。
そのたびに自分も、仲間たちも深く傷つき、それでもその傷が癒えればまた戦いに向かう。
仲間が傷つくところは見たくなかったはずだったのに、そんな姿を何度も目にしながらそれでもまだ戦いを終えることは許されなかった。

この戦いに勝利する為に。
調和の神に勝利を捧げる為に。
そして、全ての記憶を取り戻し、元の世界へと還る為に。
戦い続けなければならないということを、彼女だけでなく他の仲間達も知っていた―

…だが。
ライトニングは次第に不安に思うようになっていた。
自分はこの戦いに勝利するつもりでいる。だが、本当に勝利は戦いの終わりに繋がるのだろうか、と。
カインやラグナにはその弱気な考えを諌められた、が…その後、自分がこの戦いの勝利にこだわる「理由」を知っているラグナには言われたものであった。

「気持ちは分かるけどさ。後悔すんなって言ったオレがこんなこと言うのもナンだけど、焦りすぎも良くない」
「じゃあ私はどうすればいいんだ」
「ライトはライトのままでいいんだよ。たった一つ心に決めた答えがあるんだから、それを信じて進んでいけばいい」
「…自分の信じた道を進んだ結果道に迷うお前には言われたくないがな」

そんなことを冗談めかして言ってはいるものの、実際ライトニングの中に焦りめいたものがあったことは否定できなかった。
そう言えばここ最近フリオニールと一緒にいる時間が少なくなった気がする。
彼自身もまた戦いを重ねているし、諸々のタイミングが合わずに一緒にいられることもなくなっていた―ほんの少し寂しくはあったが、それは彼が自分と同じようにこの戦いを終わらせる為に戦い続けているためなのだからそこに個人的な感情を持ち込むわけには行かない。
寧ろそれならば余計に、この戦いを早く終わらせる為に―こんなところで躊躇っている場合ではない。

だから、今更ながらコスモスによって聖域に集められ、その力を授けられた時―ライトニングは思った。
これで、勝てるのかもしれない―と。

戦いを重ねることで自分たちの意思に馴染み、クリスタルに形を変える―そんな、神の力。
その神の力の断片が自分の中で眠っている。
それならば、その力を生かすことが出来れば―この戦いに勝利することが出来るのかもしれない。
そうすればきっと、今の…堂々巡りの状況を打破して、自分たちの望むものを手にすることが出来るのかもしれないと。

共にコスモスから力を授けられた仲間達も、そのようなことを話している。
聞くでもなくその会話を耳にしていたライトニングだったが―視界に、フリオニールの姿が入った時にふと思ったことがあった。
自分はこの戦いに対して不安を感じ、勝利への意義を見失ったりしていた。
だが、彼はどうなのだろう―と。


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