助言-3/3-






「好きだって認めるのも怖い…とか?」
「そんなことはない…自分でもきちんと自覚してる。ただ、だからって今の俺に何が出来るって言うんだ?まだ俺はライトのことを何も知らないし、きっとライトも…」

フリオニールのその言葉に、ジタンははぁ…とひとつ息を吐く。

「じゃあお前は、明日この世界がなんかの理由で消えちゃったとして…突然ライトと離れることになったとして、それでも後悔しないのか?」
「…それは…」

しない、わけがない。
自分に何かが出来るわけはない、そうは思うがそれでも少しでもライトニングと一緒にいたい。一緒にいられるのが例え、この戦いが終わるまでの間のことだと分かっていても。
最終的に離れることになるのは分かってはいても、だからって今この気持ちのまま引き裂かれたらきっとフリオニールの心には大きな後悔が残る―
ジタンは相変わらずフリオニールの顔をじっと見上げている。その表情の移り変わりを読み取ったのか、心の中を見透かすように一言。

「後悔しちゃうだろ?それならそうならないように行動あるのみ!」
「そりゃあ、ジタンはそう言うの慣れてるかもしれないけど…俺は」
「恋に『でも』も『けど』も『だって』も存在しねえの」

そう言ってジタンはフリオニールの背中をバシッと叩く。
小柄な彼のどこにそんな力があったのかと驚くほどの力で、鎧を纏っているから痛くはないもののそれなりの衝撃がフリオニールに伝わってきた。

「好きなら前進あるのみ!分かるか?」
「言いたいことは分かるけど、闇雲に前にばかり進めないだろう」
「どんだけ消極的だよ、お前」

どこか呆れたような口調でそう言ったジタンは、再度人差し指をびしりとフリオニールに突きつけて見せる。

「とにかく!オレから今のフリオニールに言えることはたったひとつ…受け身じゃハートは掴めないぞ?」
「…心は盗むものじゃないだろ」

ようやくそれだけ言葉にしたフリオニールは大きく息を吐いて聖域の空を仰ぐ。

「まあ…そりゃいつまでもこのままじゃいられないのは分かってるけど」
「そう言うこと。あとはお前が行動を起こすタイミングの問題だけだと思うぜ?」

今度は肩ではなく腕の辺りをぽんぽんと叩くと、ジタンはそのまま他の仲間がいるほうに向けて歩き出した。
とりあえずフリオニールが、抽象的ではあるもののこのままではいられないと言う結論を出したことで話は終わりと判断したらしい。
その後にとりあえず続きながら、フリオニールはふと思いついたことがあって前を歩くジタンを呼び止める。

「あ…その、ジタン」
「大丈夫、あの時寝言聞いたのオレだけだし、オレは誰にも言ってないし言うつもりもないから」
「…すまないな、気を使わせて」

その言葉に答えるかのようにひらひらと手を振ってジタンはそのまま歩いていってしまった。
立ち去った背中を見送ってから、フリオニールは…何故か、走り出していた。
今はまだ何もしない、できない、するつもりもない。でも何故だろう、今とても…ライトニングの、あの澄み切った声が聞きたかったから。


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