永遠なんてなくても-2/3-






「それにお前は今こんなものに縋る必要はないだろう。この戦いが終わればクラウドと一緒に元の世界に還れるんだから」
「べ、別に一緒に帰ったからって、そう言うのはまだ分かんないし。ほら、クラウドはあんなんだし、結婚とかそんな自分から言ったりしないだろうし…ねえ?」

ことクラウドのことになると妙に堂々としているようにすら感じるティファが珍しく動揺している…流石に、恋仲にあることと結婚することはまた話が別、と言ったところだろうか。
それでも、同じ世界に還ることが出来る―共に歩むことが出来る未来がある、永遠を誓えるクラウドとティファが羨ましくないといえばそれは嘘になる―
誤魔化す為に言ったはずの言葉で、無為に自分が傷ついている。何故だろう、ライトニングはそう感じていて…自然と、その考えが言葉になって吐き出されていて。

「それでも…私たちの間に『永遠』は存在しない…。せめて、永遠に少しでも近くありたいと願うことしか出来ないんだ」
「ライト…」

魚と格闘しているが故にかまどから離れたライトニングの代わりに、かまどの火加減を見ながら呟いたティファの声はどこか哀しみを孕んでいる。
ライトニングの側には既に諦めも覚悟もある。いつかフリオニールと離れる運命しか許されていないことは充分よく分かっている―だが、愛する者と同じ世界に帰ることが出来るティファからすれば哀しいことのように思えたのかもしれない。
それには気づいたがしかし、そのときティファが考えていたことをライトニングは全く知らなかった。


その翌日。

「ライト、あのさ…話があるんだけど」

時間が出来た合間にフリオニールにそう声をかけられ、いつものように2人で仲間達から少し離れた場所へと向かう。
フリオニールの表情は何故だか真剣なもので、少し思いつめているようにすら見えて―その理由は、ライトニングには分からなかったが話の内容を気にさせるには充分過ぎた。
仲間達から離れふたりになったところで、フリオニールは何か言いたそうにしつつ…それでも言葉を選んでいるのか、どうにも歯切れが悪くえーと、とかあの、とか考え込みながら何度も繰り返している。

「お前は自分から私に話があるというといつもそれだな」

からかうような口調で言いながら、ライトニングはフリオニールの目を真っ直ぐに見つめる。
言葉を選んでいる様子はいつものものではあったけれど、それでもどこかやはり…今のフリオニールは、言葉を選ばずに言うのなら思いつめているようにすら思える。
自分を真っ直ぐ見つめるライトニングの瞳を真剣に見つめ返す琥珀色―そして、意を決したように、フリオニールの口が滑らかに動き始めた。

「クラウドから聞いたんだけどさ…『永遠に少しでも近くありたいと願うことしか出来ない』ってライトが言ってたのをティファが気にしてたって」
「…あいつが気にすることでもないと思うんだがな」

心の中で羨んでいたのを見透かされたのだろうか。そんなことをふと思う―ともすればそれで気にさせてしまったのかもしれない、とも。
無論、ティファが気にすることではないのは紛れもない事実なのだが、それでも悩ませてしまったのであれば謝らなければならないだろうか…
ライトニングがそんなことを考えているのを知ってか知らずか。フリオニールの言葉は途切れ途切れながらも続く。


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