瞬間を重ねて-3/4-






「…さっきの話の続きなんだが」
「ああ…セシルに話したこと、だよな」
「少し、考えていることがあってな…詳しくは言わなかったが、考えていることでもしも悩んでいるのならフリオニールが同じことを考えているかもしれないから一度フリオニールに話してみろ、とセシルに言われた」

そこで、言葉を…考えをまとめるようにライトニングはひとつ息を吐く。
本当にフリオニールが同じことを考えているのか、それが少し怖くもあって。考えていることが違ったとして、この考えを話したとしてフリオニールは何を思うだろうかと気になって―
しかしそれでも、そうだとしてもライトニングには妙な自信があった。それが原因で嫌われるようなことは絶対にない、と。

「…元の世界に還る、それが私たちの最終目標だというのは分かっている。だが…ずっとこの世界にいるとしたらそれはそれで悪くないのかもしれないと時々思ってしまうんだ」

隣に腰を下ろしたフリオニールの目をちらりと見て、それから視線をどんよりと雲が覆う空へと移す。
そして、無意識のうちにフリオニールの脚のあたりに掌を添えた。隣にいるその存在を確かめるかのように。

「いつまでもこの世界に留まっているわけには行かない、それは分かっている。だが…お前や、この世界の仲間達がいるのならもしも元の世界に還れなくても構わないんじゃないか、と」
「…ライト」
「だが、仲間達は皆元の世界に戻りたいと願っている。そんな中私だけがそんなことを考えているのではないかと思うと他の仲間になんだか申し訳なく思えて…な」

ライトニングの告白を聞き終えたフリオニールはそれから暫く黙っていたが、脚に添えられていたライトニングの手に掌をそっと重ねる…そのぬくもりはいつものようにライトニングに対してとても優しくて。
それを確かめるようにライトニングは掌を返し、フリオニールの手をきつく握り締めた。

「まず、先に言っておくと…セシルの読みは正解だった、ってことかな」
「…じゃあ、お前も…?」

フリオニールの方へと視線を送れば、彼は真剣な眼差しでライトニングを見つめ、そのまま深く頷いた。
すぐに顔を上げたフリオニールのその瞳から、ライトニングは目が逸らせない。

「セシルに言ったことって言うのは、ほんとにライトが考えてることと一緒なんだ。みんなが元の世界に還るために戦っているのに、俺は時々…このままこの世界でずっとライトやみんなと一緒にいられたらそれでいいって思ってしまうことがある、って」

きつく握り締めた手は一度解かれ、すぐに指を絡めるように握り返される…その手を、ライトニングは再び強く握り返していた。
その力強さを確かめるように、フリオニールは一言また一言と言葉を繋いでゆく…

「ただ、俺も元の世界に還りたくないかって聞かれたらそんなことはないって答えると思う。元の世界の仲間のことだって心配だし。でも…ライトと離れたくないって気持ちもあって、どうしたらいいのかなって」
「それで…お前は、答えを出したのか?」

ライトニングの瞳は…自分自身では見えないから知るよしもないが、それでもきっととても真剣なものだっただろう。
そう思えたのは、自分の瞳を見つめ返すフリオニールの眼差しが真剣そのものだったから―


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