瞬間を重ねて-2/4-






自分が今悩んでいることが、フリオニールがセシルに言ったことと同じかもしれない―それを聞いたライトニングは何故かいてもたってもいられなくなって。
人気がない場所を選んだつもりでこの場所にいたが、この崖を下りて少し行けば仲間達のいる野営地に戻れる。
セシルのように坂道を下っていくのがもどかしくて、今すぐにでもフリオニールの側に行きたくて…ライトニングはひらりとその崖から身を躍らせ、しなやかな動きで着地するとすぐに野営地の方へと向かって走り出した。

野営地に戻ったライトニングはすぐにフリオニールの姿を探す…丁度フリオニールは真剣な表情でスコールと何かを話し合っているところで。
2人の表情があまりに真剣だったものだから声をかけるのもなんだか気が引けてその近くで暫しその話が終わるのを待つことにして…ライトニングは先ほど空を眺めていたときのようにぼんやりと、フリオニールのほうを眺めている。
会話は断片的にしか聞こえてこないが、どうやらこの近くにあるひずみに下見に入ったところ一筋縄ではいかなさそうだったので対策を練っている、ようであった。
…無論、話があるからとフリオニールだけ連れ出すのは簡単ではあったが…いくらライトニングとは言え流石にそこまで横暴な行動は取れない。
それに、真面目な顔で話し合っているフリオニールの表情を少し離れたところから見る、と言うのが少し新鮮だったと言うのもあって。
やはりまだまだフリオニールの全てを知るには時間がかかりそうだ…そんなことを考えながら、そこにあった木に凭れたままフリオニールをじっと見つめている。ただそれだけの時間が今のライトニングには何故かとても大切に思えて―
そこから暫く時間が経って…不意にスコールがフリオニールの肩に手を置いた。そして、視線だけをライトニングの方に向け…フリオニールの視線も、同じようにライトニングの方へ。
途端に先ほどまでの真剣な表情から笑顔へと表情が移り変わり、フリオニールはスコールに短く何か言ってライトニングに駆け寄ってきた。

「ごめんライト、俺ライトがここにいるの気づかなくて…今スコールに言われて初めて気がついたくらいで」
「気にするな。話を邪魔するのも本意ではないからな」

フリオニールの言葉には短くそう返し、ライトニングは歩き始めた…そして、一瞬だけ振り返ってフリオニールを見る。ついて来い、と促すように。
ライトニングが振り返った意味をすぐに察したらしきフリオニールはライトニングに続いて歩き始めた。
ライトニングが向かう先は、先ほどまで考え事をしていた崖のあるあたり。
先ほどは薪を探してセシルが近くまでやってきたようだったがそのセシルは今は拾ってきた薪を使って火を熾し、オニオンナイトと何か話をしながら料理に勤しんでいる。
ほかにあの近くにやってくる者はまずいないだろう、そう判断して。

実際、山道に差し掛かったあたりで既に仲間の姿は見えなくなる。野営地の丁度裏側辺りにあるのだが皆こちらの方にはやってこないようだった。
これだけ人がいなければもう話しても問題はないだろうか…そんなことを考えながら、ライトニングは自分の一歩後ろを歩くフリオニールのほうを振り返った。

「なあ、フリオニール。お前、セシルに最近何か言わなかったか?」
「セシルに?」

フリオニールの答えは待たず、ライトニングは更に足を進める。
自分の後をついてくるフリオニールは思い出そうとしているようではあったが…ライトニングの言ったことに対して心当たりがあったのかああ、と短く声を立てた。
しかし、思い出した「心当たり」をフリオニールは口には出さない…黙ったまま、ライトニングの後をついて歩くだけ。
もしもセシルが言うとおり、本当に自分が考えていることと同じなのだとしたら…流石に言いづらいのだろうか。そんなことを思いながら、ライトニングはただ足を進める。
そして、先ほどいた辺りの崖の際にたどり着くとライトニングはその崖に腰掛けるように座り込んだ―当たり前のように、フリオニールはその隣に座る。


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