男だったらしょうがない。-3/3-






「一番手っ取り早いのは恥ずかしがる前にそう言う気分にさせることだろう」
「…それ、確かに手っ取り早いけど凄い難しい気がする」

あまりにも当たり前のようにクラウドがそんなことを言うものだからフリオニールは思わず苦笑いを浮かべる…が、クラウドのほうはそのフリオニールの表情の意味が分かっていないように視線をそちらへ移す。

「そうか?普通に…触れ合っていればそう言う気分になるものだろう」
「いや、フリオニールの言うとおりっスよ。ってかそれが簡単ってことはクラウドは普段は…」
「…ああ、もういい。今のは忘れてくれ」

どうやらクラウドも言ってしまってから失言に気付いたらしく、再び答える気はないと言いたそうに視線を逸らして口を閉ざした。
無口だから感情が掴みづらくはあるが、こうしてみると結構分かりやすいというかなんと言うか。
クラウドがその調子だから、自然ティーダの視線はフリオニールの方へ。
どこか縋るようなその視線に、何か答えないといけないような気にはなるものの正直フリオニールにもその辺はよく分からない。
なんせ、そう言うときには下手したらライトニングの方が自分よりも肝が据わっている気さえしているのだから。
そう言えば事に及ぶまでの間あまりにも落ち着きがないと注意されたこともあったような、なかったような…
そんな余計なことを思い出したりもしつつ、フリオニールが出した結論はとても簡単なものだった。

「でも確かにクラウドの言うことにも一理あるかも…俺も思い返してみたら確かにそうだった。後は…慣れの問題かなあ」

実際、自分に置き換えて考えてみれば…肩を抱いていたり手を握っていたり、そこから気付けば見つめ合って口付けを交わし、そのままの流れで身体を重ねている…ことが多い、気がする。
ただフリオニールの場合、そうやって触れ合うところに持っていくまでに嫌がられないかとか下心が見えすぎていないかとか余計なことを考え込んで、いざとなるとライトニングが全く嫌がらずに受け容れるので拍子抜けしたまま空気が変わることもよくある話で。

「…でも言われてみればオレも、ちゃんと最後までできた時ってそう言うパターンのことが多かったかもしれないっス」
「だから簡単だって言っただろう」

何故か勝ち誇ったような口調でクラウドがぽつりとそんなことを呟き、それが可笑しくてフリオニールは笑いを堪える。

「よーし!じゃあ積極的にスキンシップで、後はユウナがもうちょっと慣れるのを気長に待つっスよ!」

とりあえずティーダもひとつの結論には達したらしく、フリオニールとクラウドは揃ったように大きく頷いた。
そしてその時3人の耳に届いたのは…わざとらしいほど大袈裟に本が閉じられる音。

「…結論出たんならどいて。僕もう寝るから」

黙々と魔法書を読んでいたはずのオニオンナイトの声が聞こえて、その存在をすっかり忘れていた3人はいっせいにそちらに視線を移す。
3人分の視線を浴びながらもオニオンナイトは冷静に、テントの端に置かれた毛布を引っ張ってくると3人を追い払うように真ん中あたりに陣取って身体を横たえた。

「…ついでに言っとくと、分かってるとは思うけど僕もティナもそう言うの興味ないから。今後そう言う話に僕は巻き込まないで…じゃ、おやすみ」

言うだけ言ってオニオンナイトはすぐに目を閉じる。
3人は気まずそうにそこで視線を合わせるが、オニオンナイトを起こさないように自分たちも毛布を引っ張り出してくる。
このまま話を続けていて、オニオンナイトを起こしてしまったらまた文句のひとつも言われかねない。
そんなことを思いながら3人は…一様にオニオンナイトの寝顔に視線を送っていた、が。

「そりゃあお前は子供だからそれで済むだろうけど、オレたちは…なぁ?」
「こればかりは興味ないで済ませるわけにはいかないな」
「ま、しょうがないさ…俺たち男なんだし」

口ぶりからするに、ティナとは清く正しい関係のまま一緒にいるのであろうオニオンナイトをほんの少し眩しく思いながらも…それでもやはり、自分たちはそれでは済ませられないことを3人ともよく分かっているわけで。
苦笑いをかわし合いながらも、3人はそれぞれに自分の愛しい人の姿を思い浮かべながら…引っ張り出した毛布に包まり、それぞれに眠りの世界へいざなわれていくのであった。


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