男だったらしょうがない。-2/3-






「俺もどっちかって言うとクラウドと一緒…かなぁ。嫌がってるんじゃないかって思うほど恥ずかしがられたことがないっていうか…そもそもライトも結構積極的…って」

そこまで言ったところでフリオニールは、ティーダとクラウドの視線が真っ直ぐに自分を捕らえている事に気付く。
その視線の色合いはただただ好奇心のみに彩られていて、フリオニールはもしかして自分は言わなくていいことまで言ってしまったのではないかとそこで思い至った。

「ライトが積極的って全く想像できないんだけど…その辺詳しく聞かせてくれるっスよね?」

ティーダの目は分かりやすく輝いている。先ほどまで悩んでいたのはなんだったのかと逆に聞きたくなってしまうほどに。
そしてクラウドは何も言わない。素振りとしては興味なさそうに振る舞っているようにしているのだがそれでも好奇心が抑えられないような…そんな風にも見えなくもない。
はぁ、とフリオニールは大袈裟に溜め息をついてみせる。さて、どう誤魔化したものか―そんなことを考え始めた時にふと、フリオニールはひとつ思い出したことがあった。

「…と言うかそれはクラウドもだけどな。ライトが言ってたぞ、クラウドがティファに愛を囁いてる姿がどうも想像できないって」
「あ、確かにそうかも!なあクラウド、その辺どうなんスか?」

誤魔化す為の発言にティーダはあっさりと食いつき、2人分の視線が向かう先はクラウド。

「…今俺は関係ないだろう」
「いーや、関係大アリっスよ!」

今のティーダはとてつもなく楽しそうに見える―本当に、先ほどまで悩んでいたのは一体なんだったのだろうか。
そんなことを思いながらも、フリオニールもまた実際ティファとふたりきりの時のクラウドがどんな様子になるのかに興味があるのは確かで…
クラウドは答えを拒否するように黙っていたが、それでも2人分の視線を感じて黙っていても話は終わらないと覚悟を決めたのかぽつりと一言だけ呟いた。

「それは…まあ、言うべき時にはちゃんと言ってはいる」
「言うべき時…ってまぁ、そう言うとき…だよな」
「分かってるなら確認する必要はないだろう」

話を打ち切るかのように首を横に振ってみせたクラウドはそのままフリオニールやティーダの方から視線を外す。
この調子ではこれ以上は何を聞いても答えてはくれなさそうである―それに気付いたのか、ティーダの視線は再びフリオニールのほうへ。

「さ、次はフリオニールの番だぞ」
「俺の番って…」
「そもそも、クラウドもだけどオレ達からしたらライトがフリオニールに好きとかなんとか言ってるとこ全く想像できないんスけど」

誤魔化しきれていなかったか―フリオニールは頭の中だけでそう考えて額に手をやる。
多分、今ティーダとクラウドが見ている表情は先ほど自分が見たクラウドの表情と同じだろう。そして、きっと今自分が見ている2人の表情はさっきクラウドが見ていたのと同じ。

「…それは…その、俺だけが知ってればいいことだと思ってるから」
「なんだそれ、のばらの癖にやっらしー」
「のばらの癖にって何だよ」

からかう様に笑うティーダに、フリオニールは不満げに眉根を寄せる。
それには短くごめんごめんと謝りながら、ティーダの表情はやはり興味深げなものから変わることはなく。

「つーか面白くはあるけど参考にならないんスけど。恥ずかしがらせずにそれでもそう言う空気に持っていくのってどうしたらいいんスか結局」
「どうもこうも…なぁ」

フリオニールとクラウドは顔を見合わせて首をひねる。あまり詳細に話すことは流石に出来ないが、今のティーダに何かアドバイスは出来ないかとそれなりに考えてはみるものの…やはりなかなかに難しいもので。


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