いつも通りのその中で-2/3-






「そう言えばお前は…ここにある以外の武器も使いこなせているな」

杖を置いたライトニングは今度は弓を手に取った。槍ほどではないがこの弓も金属製であるのか、手にするとずっしりと重い。
そう言えばフリオニールの姿を初めて見たときに―重くないんだろうかなどと思ったような気がする。
この重い弓や槍を平然と使いこなすことができるくらいだ、時々普通に横抱きに抱えられたりすることがないわけじゃないがそんなことは造作もないほどの力はこんなところで身につけているのだろうか。
ぼんやりとそんなことを考えていたが、フリオニールは相変わらず斧の柄の革を調整しながらしっかりと巻き付けながら先ほどのライトニングの言葉に答える。

「まあ、ある程度…ってところだけど。棒なら剣や槍の応用だし、手裏剣みたいな投げる武器は斧や短剣を投げて使うのと感覚的にはさほど変わらない…慣れたら結構簡単じゃないか」

あっさりとそう言ってのけたフリオニールの横顔を見るライトニングの目は驚きと言うか感心と言うか…なんとも複雑な色を帯びている。
自分にはまともに使えない武器の数々を、いともあっさりと簡単だと言い切ってしまうフリオニールはどれだけ器用なのかと思わざるを得ない。
ライトニングにだって剣は扱えるがその応用だからといって棒を使うことは出来ないし、短剣は使えるし状況によって投げることくらいはできるだろうがだからと言って投げてしか使えない武器を使えるかと言うとそれはまた別の話。

「それに、流石に銃に関してはラグナやスコールや君に勝てる気がしないし。やっぱり弓を使うようにはいかないけど、やっと最近ラグナのものまねしてるバッツが相手ならいい勝負できるようになってきた」

そう言われて、ライトニングは数日前にフリオニールとバッツが落ちていた木の枝を放り投げて銃で撃って遊んでいたのをふと思い出した。
元々はバッツが持ちかけたらしくフリオニールも随分楽しそうには見えていた…が、あれは実は遊んでいるように見えて銃を使う練習だったのかもしれない。
勿論真意はバッツとフリオニールにしか分からないわけで、敢えてそこを今聞く必要はないだろう。

「お前もバッツも元いた世界には銃は出回っていなかったんだろう?それなのに一応戦いを成立させられる程度に使いこなせているんだから充分じゃないか」

そう言いながらライトニングは弓を置き、剣を手に取った。
普段ライトニングが使っているデュアルウェポンとは種類が違うがやはり剣であればある程度見た感じでフリオニールが手入れを怠っていないこと、そして随分と使いやすいものであることは見て取れる。
柄をしっかりと握って振り遊び程度に構えてみたりしながら、斧の柄に革を巻き終えたところであるフリオニールの様子を窺ってみる―今度フリオニールが手に取ったのは先ほどまでライトニングがその重さに驚いていた弓。
その弦を弾いたり、射ることはないまでも矢を番えたりしながらその調子を確かめているようだった。

「ついでに言うとお前が楽器まで使いこなすとは流石に思わなかった。私は未だにあれをどう戦いに使えばいいのか今ひとつよく分からない」
「あれは…流石に最初はちょっと迷ったけど、音で攻撃するって言うコツさえ分かったら使えるようになった。感覚としては魔法と似てるかもしれない」
「…魔法なら得意分野だが音で攻撃するという感覚はよく分からない」

ここまであっさりと言い切られてしまっては逆に楽器の使い方が今ひとつよく分からない自分の方がおかしいのではないかと思いたくもなる…が、仲間内で楽器を使えるのはフリオニールの他にはバッツとティナだけである。
フリオニール同様にさまざまな武器を使いこなしているヴァンですら楽器を使うことは出来ない。そう考えると、やはり自分が楽器を使えないのは別におかしなことではないとライトニングは変な安心をするのであった。


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