終焉のその先で-3/3-






「…そなた達が残した希望を託された戦士たちが神々の戦いを終わらせ、結果私はこうしてそなたたちと共に戦うことができるようになった…その一点だけでも私はそなたたちに感謝しなければならない」
「ならば、私も礼を言うべきだろうな」

ライトニングはそこでゴルベーザから視線を外す。そして目を閉じる―瞼の裏に浮かぶのは、あの赤い花と、そして。

「フリオニールが無意識のうちに私が残した希望を受け継いでいたというのなら…そのきっかけを、あの花をフリオニールに返したのはお前だろう」
「…そうなるな」

ゴルベーザが短くそう返した言葉に対し、ライトニングは答えを選ぶように一瞬だけ押し黙る。
その目には、パーティを組んでやってきたイミテーションを1体壊して疲れのためか座り込んでいるオニオンナイトと、その次のイミテーションと戦うカイン…それに、次の戦いに備えて準備体操などしているバッツの姿が映る。
この調子で行けば恐らく、バッツまでで食い止めることができるだろう。自分が戦わずとも目の前のイミテーションを撃破することができるかもしれない。

「私は全ての仲間たちに希望を残したかった…その為にフリオニールへの想いは断ち切った、つもりだった」

ゴルベーザからの答えはない。だが、ライトニングは構わずに言葉を続ける。

「だが、あいつは言うんだ…夢の先に私の姿を見ていた、と。私との約束を守りたかったから夢を追っていたのかもしれないと…私から断ち切ったはずの想いをフリオニールは守っていたんだ…全て忘れていたと言っているのに、な」

もう一度言葉を切る。カインも相応に傷つきながら目の前のイミテーションを破壊したようだった。
準備運動を終えたらしきバッツが続いて前に出る。バッツの前にいるイミテーションが破壊されれば戦況が決まり、ライトニングは戦う必要はなくなるだろう。

「私にはもうあいつに愛される資格なんてないと思っていたのに、あいつは全てを許してくれた…一度断ち切った想いが繋がったのは、フリオニールに夢を見る切欠を作ったあの花だろう。だから、礼を言う」
「…断ち切った想い、か」

ライトニングの言葉に短くそう返したゴルベーザの口調は何かを思うようですらあって。
ややもすれば、敵対する神に喚ばれたことによって兄としてのセシルへの想いを断ち切ったことが彼にもあったのかもしれない―ゴルベーザが何も言わないのでライトニングは勝手にそう解釈した。
ふと見ればバッツがかなり傷つきながらもイミテーションを破壊し、ひずみを解放する為の烙印まではあと1体のイミテーションを残すばかりとなっていた。

「見せ場ないんじゃつまんないだろ。ゴルベーザ、行ってきたらいいんじゃないか?ライトはまた今度ってことで」

傷を庇うように立ち上がったバッツが促すようにゴルベーザに笑いかけ、腕につけられた傷をさすりながらオニオンナイトも笑う。

「そうだね。折角だからお手並み拝見と行きたいかな」
「…お前には強くいてもらわないと困るからな、お前に操られていた過去のある俺の名誉の為にも」

カインの口からそんな冗談が出るのは珍しい、などと思いながらライトニングは自分の後ろからすっと一歩前に出たゴルベーザの背中を見ていた。
そう言えば、何故ゴルベーザは自分とフリオニールの関係を知っているのだろう。情報源はセシルか…それともカインか。
しかし今はそんなことはどうでも良かった。
その重厚な鎧をふわり宙に舞わせるゴルベーザの背中を見ながら、ライトニングは心の中だけでもう一度…ありがとう、そう呟いた。


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