終焉のその先で-2/3-






「…ふむ、これは…なかなか厳しい戦いになりそうだな」

ゴルベーザの声色は冷静で落ち着いていて…そう言えば彼もまた世界に何が起こったのかを解き明かす為に元々混沌の神に与していた者たちのうち幾人かとひずみの解放を行っていると言っていた。
そして同様にひずみの中の様子を見渡したカインがオニオンナイトの肩に手を置きながら言葉を繋ぐ。

「動きが速いお前が先行するのがいいだろうな。俺がその後ろにつく」
「じゃ、おれはカインの後ろかな?」
「だね。ライトはその後ろでゴルベーザがしんがりって言うのがいいんじゃないかな」
「ああ、私は異論ない」
「私は異論を挟もうにもそなたたちの戦い方を完全に知っているわけではないのでな」

5人の意見がとりあえず一致したところで、カインに言われたとおりオニオンナイトが先行する。
どのように戦うのか、オニオンナイトは自分がどこまでやればいいのか…それを考えるように、目の前にいるイミテーションの姿を視線だけで追っている…

「あーして見るとアイツもいっぱしの戦士なんだよな、子供だけど」

バッツがそんなことを言いながら笑い、ライトニングはそれに呼応するように頷く。

「見ようによってはお前の方が子供っぽいと思うぞ、バッツ」
「カイン酷い…なんて言ってみたところでなんか反論できないのがなー」

あははっと気楽に笑い飛ばすバッツと、兜で顔は隠されているものの口の端に笑みが浮かんでいるカインの様子を眺めているライトニング。
そのライトニングの背後から、ゴルベーザの落ち着いた声が聞こえる。

「…そう言えば、そなたには話しておいた方が良いことがあったのを忘れていた」
「話しておいた方がいいこと…私に、か」

意外な言葉が出て、ライトニングはゴルベーザの兜を見遣る。その奥の瞳は見えはしないが、きっと真摯な表情であろう事はその声色から容易に想像がつく。
ゴルベーザはひとつ頷くと、何かを思うように視線を宙に彷徨わせる。

「あの青年が目覚める前にあの小さな花を置いておいたのは私だ」
「フリオニールのことか」

ゴルベーザはそれに対して言葉ではなく、頷きのみを返した…兜に妨げられ、その動きは小さくしか見えなかったもののそれでもはっきりとライトニングの言葉に対しての肯定を示す。
そのままライトニングがゴルベーザを見上げていると、その兜の奥から彼らしく低く落ち着いた声がライトニングの耳へと届いた。

「…そなたが託した希望の証…だったのだろう」
「私は別にフリオニール『だけ』に希望を託したつもりはなかったがな」

それは偽らざる本音。フリオニールひとりに背負わせたつもりはない。それに、フリオニールを縛るつもりもなかった。
ただ、自分が繋げる希望をほんのひとかけらでもいいからフリオニールも生かしてくれていればよかったと思っていた…ただ、それだけ。
ライトニングのその返事を聞いてゴルベーザはひとつ頷く。分かっていた、とでも言うように。

「無論彼ひとりの為にあの選択ができたとは思っていない…だが無意識のうちにそなたが残した希望を彼は受け継いでいたと私は思っていたのだがな」
「何が言いたいんだ」
「そなたたちの選択がなければ私にこうして光が微笑むこともなかっただろう」

ゴルベーザの瞳はどこを捉えているのか。兜の向こうからではそれは分からない。
だが、その穏やかな声からもしや彼は今笑っているのではないかと…ライトニングはそんなことを思っていた。

「カインには既に伝えていたが始めにその決断をしたそなたに礼を言えていなかったことを思い出したのでな」
「私自身は仲間達にすら礼を言われる筋合いはないと思っているのだが」

事実、後からそのことを知ったフリオニールを随分と悩ませたし、他の仲間にも―真実を知った者には怒られたりもした記憶もある。
勿論それと合わせて例を言われてもいるのだが、ライトニングからすれば別に礼を言われるまでもなく自分がそうすべきだと思ったからとった行動でしかないわけで。
しかしライトニングが返した言葉にゴルベーザは首を横に振った。


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